›7 18, 2006

ゼロ金利政策

Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments: Post / View

財政・金融政策で書いた内容が基本である。

ゼロ金利政策とは、無担保コール翌日物金利を事実上0%に引き下げしたことであるが、本質的に究極の投資刺激の増大であったと言える。事実企業の設備投資、消費者の住宅投資など購買意欲を刺激した。

その後の量的緩和政策は、金利から日銀当座預金残高というマネーサプライ面に主軸を動かして金融緩和を行った。また量的緩和解除に伴い、今回のゼロ金利政策解除に繋がった。


理論上、金融緩和政策は円安に動く。為替の予測は困難だが、購買力平価に関連し、物価の高い国の通貨は安くなる。

財政政策では目的は同じ景気刺激だが、円高になり金利上昇する。


考えてみると、量的緩和ではデフレ脱却を目的としていた。ところが量的緩和、ゼロ金利は毒薬であった。これは経済学の理論からもわかることだが、人類史上初の試みであった。結果、流動性の罠から通常の金融政策は効力を喪失した。
このままゼロ金利を続けると、日銀は金融政策自体放棄ということになり一刻も早く解除へと動きたいという意識があるのだろう。。

さて、今回のゼロ金利解除であるが、金利の上昇によって不利益を受けるプレイヤーは、まずは政府である。保有している国債の価値が下落する。借入を行っている企業(ほとんど)も金利の上昇が資本コストの上昇につながり不利益を蒙る。
特に中小企業は資金調達手段を銀行の融資に頼らざるを得ず、交渉力も弱いので不利益を蒙る。地方の中小企業は担保価値(土地価格)の下落からさらに酷い不利益繋がるのではないか。あくまでも一般論であるが。

個人レベルでは資産において負債から住宅を購入しているものは不利益を蒙る。消費者金融などの借金もどうように。逆に年金受給者、金融資産を持っているものは利益を享受できる。例えば金利上昇してから国債を買えば、低金利の時点での購入者より得するから。

そう考えると、ゼロ金利解除は概して企業、とりわけ中小企業に負担を課す。それがめぐって個人(企業からの給料を貰っている人たち)への負担と繋がる。

良い面を強調してみると、物価動向がインフレに転じるリスクを回避、投資行動を牽制し景気の過熱を抑制する効果があげられる。一番のメリットは金融政策を通常どおり行える環境を整備しておけるというところではなかろうか。

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