›4 02, 2009

空売り屋

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「空売り屋」は同タイトル小説を含んだ黒木亮の短編集である。個人的には「村おこし屋」が面白かった。
村おこしはビジネスである。ただし一部の者が国からぼったくるビジネスであり、大局的には価値のある事業では無いことがよく分かる。
自分の知らなかった世界であるが、読んで納得した。田舎にいくと過疎化が進んだ村ほど立派なテーマパークや施設があって驚かされるものである。
この小説にも登場するような立派な日帰り温泉(スーパー銭湯や健康ランドのようなもの)があるところを知っているから。

それでいて、どこか中途半端なのだ。
その理由は利害関係者が食い込むために、不味い料理しか出せなかったり、いろいろ複雑な理由があるのだ。

この小説の悪役が読んでいるとホリエモンの思想そっくりで、経歴も福岡の進学校から東大(一番入りやすい文Ⅲ)というのも明らかに意識しているなと感じていたのだが、読み終えて参考文献にホリエモンの「稼ぐか勝ち」があった(笑)。まあ、思想だけそっくりだけどやっていることや外見は違うのだけれども。

空売り屋も、エマージング屋も面白い。これらはやはり金融屋の話だが、短編小説では考えられないほど深い内容だと思う。


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