›2 25, 2013

MAKERS革命

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人類にとって大きな変革期となった産業革命、インターネット革命に次いで、大きく産業を転換させる可能性があるのがMAKERSムーブメントだ。
イギリスで起こった産業革命では、大量生産が実現し、人類は生産性を向上させ大量消費の時代に突入した。近年ではインターネット革命により、コンピュータによるホワイトカラーの生産性の向上からネットワークでつながった消費スタイルの変革までもたらした。

製造業は大量生産から、個人の欲しいものだけを生産する嗜好性と多品種、少量生産の時代になりつつある。
大量生産では、工場のオートメーション化(FA)により長期に使われる自動化設備によって生産されたが、現在ではリードタイムが短く、多品種少量の組立のため東南アジアの安い賃金で段取り換えが容易な労働集約型の人的作業でモノが組み立てられることが多くなった。

この先にあるのは、個人が欲しいものを自分が考えて、それをそのまま作ってしまうようなムーブメントだ。
理想とも言える製造プロセスは、技術革新より可能となりつつある。

かつて写真は撮影したものを専門業者に現像と印刷を依頼していた。しかしコダックは破産し、デジカメで撮った写真は自宅のプリンタで誰でも印刷できる時代となった。

同じように、欲しいものは簡単に3DのCADで絵を書き、3Dプリンタや簡易工作機械やレーザーカッターで簡単につくれるものがでてきている。それも安価に。

かつてインクスという会社が注目された時代があった。この会社は3Dの試作を短納期で実現する会社だった。自動車業界に特化し、金型をつくらずに短時間で必要な戸数だけ生産する仕組みを構築していた。民事再生になったが、再生したという。

携帯電話やプリンタなどの家電もまた速いスピードでの試作が求められる。菊池製作所という会社は、小型の工作機械やレーザ切断機、レーザ溶接機を用いて試作をつくる会社で、最近上場した会社だ。このようなジョブショップは企業の製品投入を速くするための試作に特化しており、アジル・マニファクチャリング(迅速な製造)という言葉もある。IT分野ではRAD(Rapid Application Development)と呼ばれるプロトタイブ製造プロセスが重要視されている。

MAKERSムーブメントとはこれらとは異なる。むしろDIF(日曜大工)の延長と考えるべきだろう。3D製造技術の向上は、つくられたモノを買うのではなく、モノを自分でつくりだすイメージを実現する。

最近、電子工作がまた流行っているという。昔はガレージでモノを修理したり組み立てたりするのがアメリカ人の中産階級の夢のようなものだったが、その後IT化やモジュール化により学校の授業から家庭科や工作は消えた。車はコンピュータ制御になり、部品も分解できなくなった。しかし、部品の高機能化とは別に、専用化から汎用化という流れも同時の起こり、モジュールを組み合わせることによって、欲しいものは自分で作れる時代にもなったのだ。

近い将来、子供たちは学校で3D CADの使い方を学び、電子部品のモジュールに対する知識も得るだろう。欲しいものをつくるときは、プログラムのモジュールも集積され自由にだれもが使えるようになっている。家庭用のプリンタは3D製品をつくれるようにもなってきているのだ。

変革はもう、目先まで迫っている。


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