›7 18, 2012

票田のトラクター|政治の裏舞台がわかる漫画

Category: 書評 / 0 Comments: Post / View

日本の「政治は二流」と昔から揶揄されてきた。国家の法律や予算を含めた指針が一部の権力ある政治家達による密室によって決められていることや、権力闘争や政局の争いによって国益からかけ離れた政治活動が行われてきたようだ。

政治漫画は少なからず出版されているが、「票田のトラクター」は現実とフィクションが微妙に重なりあった政治の裏舞台がわかるストーリーとなっている。かつては現実の政治を先取りしてまるで予言の書のように漫画の世界が現実化していった。

主人公の五輪は国会議員の秘書であるが、これは小沢一郎に仕えた秘書高橋嘉信がモデルとなっている。裏方に徹しながら工作活動する秘書の姿は国民の知らない裏舞台だ。

主人公が仕えるのは小沢一郎をモチーフとした政治家だ。初期作品では中選挙区での資金調達から票田集めの運動が描かれており、続編では民自党内の派閥昭和会を部隊に政局活動が非常に面白く描かれている。

竹下登、金丸、中曽根といったかつての自民党を動かした人物がモデルとなっているのがわかり、また野党との慣れ合いなども勉強になる。

それにしても小沢一郎は長く政治家をしていながら、謎だらけの人物に思えてくる。新党である「国民の生活が第一」という消費税導入反対かつ小沢チルドレンを率いる裏舞台が見てみたいものだ。最近では週刊誌で小沢の妻の決別状という手紙が公開されたが、小沢は沈黙を守っているが真相が知りたいところだ。

この漫画では、「小沢一郎が趣味」とまで公言していた高橋嘉信がモデルとなっているとのことだが、よほど本人の近くにいない限りこれほど細かい描写はできなかっただろう。「小沢の影に高橋あり」という話は聞いたことはあったが、主人公の言葉をそのまま拝借すると「東大の政治学よりもよほど勉強となる」というのがこの漫画を読んでの感想だ。


Comments