›1 24, 2012

もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら

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経済学者ミルトン・フリードマンの提唱する自由主義観(リバータリアリズム)は今でも健在だ。革新的でもあり、資本主義の問題の核心を突いている。

本書では、マンガで近い将来起こりうる大きな日本の問題に対して、小泉進次郎がフリードマンの政策を大胆に実行する姿を描いている。

物語は2015年最初の国債入札で、長期国債が大量に売れ残り、長期金利が急上昇する場面から始まる。
これまで護送船団だった邦銀がいっせいに国債を売り始める。長期金利が1%上がると1兆円の損が出るメガバンクが大量に売りに走り、外資系ファンドも大量の空売りをかけ始めた。国債は暴落し長期金利は10%を超え、邦銀は数十兆円の含み損を抱え、日経平均株価は6000円を割った。

小泉進次郎は総裁選挙「新たな小泉改革を行なう」という主張を掲げ当選した。

経済学者ミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』には次の「10の約束」が提唱されている。小泉進次郎が演説でスクリーンに映し出したそこには次のような政策が書かれていた。
1.農業補助金の廃止
2.関税の撤廃
3.最低賃金の廃止
4.企業に対する規制の撤廃
5.政府による電波の割当の廃止
6.公的年金の廃止
7.職業免許の廃止
8.教育バウチャー
9.郵政民営化
10.負の所得税

あまりにも本質的な改革ではあるが、これは同時に既得権益者の利益を大きく損ねる政策でもある。次々に日本経済に襲い掛かる問題に小泉進次郎とその仲間は戦うこととなる。
マンガで読みやすいが、真の自由主義、そして資本主義の本質について考えさせられる大作である。


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