›1 05, 2012

製造業の海外生産移転戦略

Category: 経営戦略 / 0 Comments: Post / View

先進国は景気低迷に苦しむ中、今後も雇用なき回復(Jobless recovery)でゆるやかに経済成長していくしかないだろう。
グローバリゼーションは、労働力の移転を容易にし、労働集約型産業である製造業は賃金の安い発展途上国に工場を移転し、国内サービス産業の労働者は賃金の安い移民を使う流れを加速させた。

今や日本でも国内産業の保護であるとか、移民の受け入れ拒否などと言ってはいられないのだ。何故ならば、関税撤廃など自由貿易の推進は経済学の観点から、確実に経済成長に導くものであるからだ。規制と保護貿易は自由経済下では経済発展の足かせとなる。

その結果、能力を持たない者、付加価値のない産業は安い賃金や発展途上国へと移管されることとなる。

昨年は「ウォール街を占拠せよ」の運動が注目を浴びた。資本主義のマネーゲームの支配者であり搾取者である、ウォールストリートの投資銀行は米国全部の富のを独占しており、残りの「99%」は虐げられているというスローガンであった。

日本では産業界の6重苦に苦しめられており、かつて日本の経済発展の礎であった製造業の国際競争力を低迷させた。

<産業界の6重苦>
1.円高
2.世界一高い法人税率
3.自由貿易協定(FTA)、TPPの立ち遅れ
4.電力不足
5.製造業の派遣労働禁止
6.温室効果ガス排出量の25%削減

もはや、国内で製造してもコスト競争力でウォン安で優位な韓国や賃金の安い新興国にはとてもかなわない。

日本の唯一の希望は超「円高」である。日本国内で安くモノを買えるということだけが円高のメリットでは無い。
海外で円を換金して現地通貨にするさいにも円高のメリットは享受できる。

超円高の今こそ海外に投資する絶好のチャンスなのである。
製造業は賃金と通貨の安い国家でものをつくり、それを先進国に輸出するしか活路を見いだせない。

BRICsをはじめとして、人口がとてつもなく多く経済成長の著しい国が存在する。
今後は「地産地消」として安い賃金であるBRICsやVISTAで製造から販売まで手掛ける企業がいち早くマーケットシェアを取れるだろう。

さて、日本の区や市など地方自治体までもが、製造業の海外移転をサポートしている時代となった。
(財)大田区産業振興協会は、タイにオオタ・テクノ・パークという工業団地をつくり、海外移転を促しているし、他の地方自治体でも同じような動きがある。

大企業の製造業の多くは、国内では研究開発と生産技術の一部しか残らず、生産を海外移転してしまった。
中小企業が活路を見出すのはもはや海外移転と新しいマーケットの開拓しか無いだろう。


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