›9 08, 2011

会社は2年で辞めていい

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著者の山崎元氏は週刊誌のコラムなどを書いている経済アナリストだ。筆者は12回の転職を通じて「会社は2年で辞めていい」という結論に達したという。
一般的には、転職回数は少ないほど良いとされる。また「石の上にも3年」という諺があるように、3年以内での転職は印象が悪いとされる。

そのどちらの定説に反した「2年以内の転職」を主張するには、それなりの根拠が必要だろう。
山崎氏は実際に2年以内の転職を繰り返してキャリアアップをはかって来ており、金融業界でのプロフェッショナルのキャリアを築いたというのがその裏付けとなっている。

確かに短期間で転職を繰り返す者の第一印象は相当に悪いだろう。
多くの場合、履歴書を見ただけで書類選考さえも通らないかもしれない。

しかし、それにも勝る経験とキャリアの裏付けがあれば、転職は問題無いということがわかる。

自分がまだ20代だった頃、社内には多くの派遣社員や外注業者が同じように業務を行っている職場だった。
彼らは同じように正社員と仕事をしていたが、プロジェクト単位で次の職場に移っていく人も多かった。
それを見て、当時は正直羨ましいと思った。

何しろ、正社員はプロジェクトを仕切るが、プロジェクトが終わってもまたそのプロジェクトを引きずったフォローをし続けなければならない。
永遠と同じ業務が、いつまでも続くのではないかと思うと、仕事の安定なんかよりも仕事の苦痛と憂鬱の方が遥かに大きかったのだ。何しろ野心に燃え、キャリアを早く築きたい20代だったのだ。

プロジェクトに真剣に打ち込み、終わったら新しいプロジェクトに参画する彼らはキャリア形成においては正社員を圧倒していたのだ。
当時は真剣にプロの派遣社員になってキャリアップをはかってから、どこでも通用するプロのビジネスマンになろうかとまで考え込んだものだ。

今から思えば青い考えだったとも思うが、正社員で同じ会社に居続けることは成長が遅いし、その会社でしか通用しない人間になってしまうものだ。
どこのプロジェクトに行っても通用するビジネスマンになるには、転職を重ねるのが確かに近道なのだろう。

30歳を過ぎてさすがに派遣社員という立場では家族を養っていくのには不安である。そこで転職が良い。

また、入社する会社には当然のことながら当たり外れがある。自分に合った会社を見つけるには、本当は沢山転職をして見出すというのも合理的発想だ。

終身雇用の時代は終わりつつある。短期間で転職を繰り返しキャリアップしていく米国流が今後は当たり前になるのかもしれない。


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