›9 01, 2011

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代

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ベストセラー「若者はなぜ3年で辞めるのか? 」の続編ともいえる本書は、主に3年以内に大手企業を退職した若者へのインタビューを中心にまとめられている。

前著では日本企業の年功序列制度によるピラミッド構造が若年層を搾取するねずみ講であり、将来を悲観した若者から辞めていくことが説明されていたが、それではいったい辞めた者はどこへ行ったのか。

損得勘定で考えれば、年功序列制度ではない搾取されない仕組みの組織へ行くことになる。
そこは中高年の少ないベンチャー企業であったり、完全な成果主義が採用されている外資系企業であったり、個人の能力が報酬と一致する仕組みのある組織だ。

大企業を退職した若者たちはアウトサイダーと見なされる。古い昭和的価値観で考えれば、3年で辞めた若者はドロップアウト組だ。
現実に、ドロップアウトと呼ばれるような社会の底辺にまで落ちてしまう若者もいるだろう。

会社を辞めて、ニートやフリーターになったり非正規社員になった若者に対しては日本では敗者復活の機会はほとんどないのが現実だろう。
そもそもそのような現象もまた企業が正社員を解雇できないという厳しい規制と年功序列によるものなのだが。

しかし、ベンチャー企業や外資系企業に転職しプロフェッショナルの職能を身につけていく若者の未来は明るそうだ。

本書で紹介されている様々な若者の生き様を見て共感した。3年以内には辞めなかったが、自分自身もまたアウトサイダーな生き方を選んだのだ。

新卒で入った会社は伝統を感じるいわゆる日本的企業であった。しかし2000年代に入ると他の大企業同様に成果主義を取り入れる動きがあった。コンピテンシー給の採用や成果に応じた賞与など人事考課が大きく変わり、普段はおとなしい中高年が人事部による説明に対して声を荒げて「成果報酬という名の中高年リストラではないのか!」と叫ぶ姿を見て冷めた思いがしたものだった。

社内には、中高年の管理職が大勢いた。彼らの肩書は担当部長など形だけの者も多かった。何しろ何を仕事をしているのかわからない中高年が居座っていたのだ。
若年層は毎晩遅くまで残業するのに、彼らは定時で帰っていた。そしてバブル期に入社したこれまた使えない連中が大勢いるといういびつな構成だったのだ。

自分の同期で会社を辞めた者はほとんどいなかった。しかし4,5年経つと辞める者が少しずつ出始めてきた。
彼らはベンチャー企業や外資系企業へと転職していった。

20代後半でまだ住宅ローンも養育費も無いので勢いで転職した者がほとんどだっただろう。自分もそうであった。しかし、振り返って冷静に考えてみると、残っていてもそこには夢も希望も無かったのではないかと思う。

35歳を過ぎると転職の年齢制限が見られ、40歳を過ぎると転職先を探すのが困難になると言われている。
ネット上のBlogや掲示板では、1年以上失業して転職が決まらず気が狂いそうな40代が結構書きこんでいることを知った。

しかし、時代は急速に変わりつつある。やがて企業は採用で年齢制限をすることは差別として禁止されるようになるだろう。そして年功序列制度は崩壊するだろう。

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