›5 24, 2011

「独立・起業するなら3倍の収入を得よ」の意味

Category: アントレ(起業) / 0 Comments: Post / View

サラリーマンの間でまかり通っている「独立・起業するなら3倍の収入を得ないと割に合わない」という格言(?)がある。
これは、サラリーマンと比較して中小企業経営者や個人事業主は収入が安定しなく、失業して転職できないリスクが高いことから言い伝えられているのだと思っていた。
実際には独立・起業して3倍の収入を得ることができる人はほとんどいない。むしろ、サラリーマン時代より収入が減る人の方が多いのではないか。何しろ起業して5年で半分の会社は淘汰されてしまうのだ。

つまり、最初から3倍稼げるビジネスモデルを見つけない限り、そもそも起業家としてやっていくことはできないという警鐘の意味合いが強いのだと思う。
そうはいっても、現在のサラリーマンは非常に多くのリスクを抱えているので、「大企業で倒産の可能性が極めて低い終身雇用の会社を辞めるなら、3倍の収入を得ないと割に合わない」と言える状況であろう。

もちろん、起業する目的は金銭的な面だけではなく、むしろ自己実現や自由を得るというかけがえのない動機が大きいはずだ。

恐らく、これからの10年はこれまでの不景気で苦しんだ10年より多くの変化があるだろう。
コンピュータやインターネットの発達により、企業の抱える多くの管理系職種、いわゆるホワイトカラーの仕事は大幅に減っている。過去10年間にその変化のための技術は充分生み出されたものの、企業は解雇せずに多くの不要な人員を抱えたままであった。

これからの10年は企業の本格的なリストラクチャリングの時代になるだろう。経営システム、企業間取引システムは合理化され、優秀な人員は高収入を得るが業務量は増加し、優秀でない者や単純労働は安価な人件費の労働者やコンピュータシステムに置き換えられる。

これまで60歳~65歳まで働くことが前提であった社会が、50歳以上の高賃金の社員を雇う合理性が極めて小さくなってしまうと思われる。最も稼ぎ頭とされている40代のサラリーマンの業務さえ、より若く安価な労働者が代替できる可能性も充分にありうるだろう。

そのような将来のことを考えると、既に高い収入を得るために起業するのではなく、会社から不要とされ起業せざるを得ない時代が来る予感がする。
10年以上前は独立・起業という言葉よりも脱サラという言葉が主流であった。サラリーマンから脱するということは、もう元のサラリーマンには戻れないと暗に示す言葉だ。
しかし、これからはサラリーマン経験よりも起業経験の方が企業にとっても重宝される時代になると思う。実際、起業をすると営業から人事から資金繰りまで全てをこなすことになる。これはMBAの実践版ともいえるかけがえのない経験であり、成功も失敗も大きな財産として価値あるものだと思われる。


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