›4 20, 2011

起業する前に知るべきこと|社長の苦悩

Category: アントレ(起業) / 0 Comments: Post / View

起業・開業の本は、事業開始から発展させる過程について書かれているが、社長という立場がどのような苦悩を抱えるのかは書かれていない。
多くの起業家が、成功を確信し、希望に満ちて開業をするが、全てが順調に進むとは限らない。むしろ多くのベンチャー企業は数年で倒産してしまうことは統計上のデータでわかっている。
また、順調にビジネスが発展している時においても様々な苦悩があるのが社長という立場だ。

多くの中小企業の社長と話していると社長の苦悩は3つに分類されることがわかった。
金、社員、家族の3つだ。

ベンチャー企業にとって資金繰りは非常に苦しいものがある。たとえ事業が順調に発展しているように見えても、客先からの支払いが遅かったり、業者や社員の賃金の支払いなどで資金繰りに生きずまってしまいがちだ。経営が傾いた時には資金がどんどんなくなる。
サラリーマンのように賃金を貰うだけで、支払うことなど考えたこと無かった人は、社長になって資金繰りの恐ろしさを知ることとなるだろう。
また、経営が順調な時は銀行にしろVCにしろ融資や投資の話をしてくるが、経営が傾いたとたんに貸し剥がし、投資剥がしにあう。
「金を返せ」などと言われることはサラリーマンにはあまりないことだ。金を借りているから返さなければいけないという罪悪感の苦悩で悩む経営者は多い。

次が社員の問題だ。様々なバックグラウンドを持つ転職者を管理するのはそもそも難しく、社員を信頼しつつも、不正や裏切りが無いか注意深く監視しなければならない。
また、経営が傾いた時には、賃金カット、解雇を行わなければ会社が存続できない。情に厚い社長ほど、人の賃金や雇用に手を付けることができず、ますます事態が悪化してしまう。

そして家族だ。自分の会社を大切にしすぎるあまり家族を犠牲にしてしまう経営者は多い。また、中小企業にとって社長と会社は一体である。銀行の借金の個人保証は倒産時に家族にも重くのしかかってくる。

こういった社長の苦悩は体験してみないとわからないものなのかもしれない。しかし、自殺する社長が多いのは良く知られている。死ぬほどのことではないのに、といつも思うがそれほど社長の抱える苦悩というのは大きいものなのだ。
そしてその苦悩は経営をし続ける限りつきまとい、精神の弱い人であれば常に不安で眠れない日々を送るはめになる。

Blogでは多くの経営者が日々の出来事を日記形式で公開している。しかしそこに本音や弱さを吐露することは無い。
むしろ倒産後の社長のBlogの方が、現実と本音を赤裸々に公開している。そのような倒産後の処理をしている元社長のBlogはいくつもあるのだが、倒産前にどのような心境であったのかとても参考になる。誰もが悩み、苦しみ、眠れない日々を過ごし、倒産後に心が楽になったとある。従業員や取引先や自分の家族への重責というのはこれほどまでに重いのかと思い知らされる。

そのような前提があっても、それでも起業をするということは素晴らしいことで、1度しかない人生にとって本当に有意義な体験であることは事実だ。


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