›4 06, 2011

倒産した会社の社長

Category: アントレ(起業) / 0 Comments: Post / View

倒産後の社長には過酷な残務作業と人生の再スタートをしなければならない。
それがいかに過酷かというと、資産の没収、無収入の中で、これまで経験したことのない後処理をしなければならないのと、人生と一体だった会社という存在を無くした喪失感から無気力、脱力のため再スタートがしにくいことにある。

真面目な社長ほど倒産後は悲惨
社長は倒産を回避するためにあらゆる手段を取る。賃金カット、リストラと身を削る思いで辛いことを行わなければならない。
さらに、銀行借入が出来なくなると、存続のためサラ金などの高利貸しにまで手を出してしまう社長もいる。本業が立ち行かないのに、高利貸しに手を出してうまくいくわけが無い。冷静さを失い、会社の存続や従業員の賃金を払う使命感のために事態が悪化してしまうケースもあるのだ。
このようにして多重債務者になると、通常の銀行借入だけの借金よりも後処理が悲惨になる。

倒産をすることにより従業員、取引先、仕入先、顧客に迷惑がかかる。また社長のプライドもズタズタになるのだ。
そんな恐れからより事態を悪化させてしまう社長も少なくない。

倒産すると、社員から罵倒されるかもしれない。会社の玄関には倒産の張り紙が張られ、資産の処理に移行する。
この時点で多くの社長は脱力感で一杯で、借金の個人保証や自宅の担保、連帯保証人への迷惑、家族のことなどで頭が一杯のはずだ。
返せないほどの借金をどのように処理するのかの知識が無いから不安で一杯になるのだ。
倒産した社長の話を聞くと、倒産直前では自暴自棄になったり、死にたいと思ったり、本当に自殺を考えるほどになるという。

自殺してその保険金でおとしまえをつけようだとか、絶望感から実際に自殺してしまう社長もいる。

倒産してしまった後のほうが、むしろ気が楽になったという話をよく聞く。
破産してしまえば、もう会社は存在しないのだ。
この時点になって弁護士の話を聞いたり、倒産後の事例を集めることによって気が楽になってくるのかもしれない。
しかし、多重債務を抱えていたり、連帯保証人への責任を感じたり恐怖から夜逃げしてしまう社長もいる。

倒産後の社長の再起が困難なのは、倒産という失敗を引きずったり、絶望感のあまり前進することができなくなってしまうことにある。

倒産しても元気に再起できる社長もいる
倒産が避けられないと確信した時から、早く再起を考えている社長は行動ができる。
計画的に倒産することもできれば、倒産後の再起のための資金や事業の移転などの行動が取れる。
なによりも、精神的に楽なことが再起には一番大きな要因なのではないだろうか。

ここに紹介したのは、様々な中小企業の倒産した社長の話やインタビューから具体的な人物像を想像したものだ。
あまりにも悲惨な例がある一方、人がうらやむような倒産・再起を遂げた社長もいる。

社長というのは大きな責任を背負っている。過度な責任感を持つと押しつぶされてしまう。
毎日多くの会社が倒産しているのであり、倒産は社長だけの責任ではない。銀行にしても1社の借金が経営に大きな影響を与えることは無い。
倒産で一番悲惨なのは多くが社長自身なのだ。

社長には事業を行ってきた能力があり、優れた才能を持っているのだ。計画倒産によりうまく処理する方法はいくらでもある。
そのことが伝えられたらどんなによいだろう。そして何度でも再起できる社会であればどんなに良い世の中になるだろう。

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