マイホーム神話はいまだに健在である。賃貸派とマイホーム派の闘争はこれまで散々繰り広げられ得てきたが、マイホーム派が一般的に優勢のようである。
これには、マイホームを買ってしまった人は賃貸には戻れないため、頑なにマイホーム支持をするのに対して、賃貸派は両方の選択肢があるため意識の違いが大きい気がする。誰しも過去の失敗は認めたがらず、正当化する理論を構築するものである。
さて、このマイホームと賃貸は根本的に性質が異なり、資産(ストック)と費用(フロー)の違いである。
資産というものは、価値が時間が経てば増大するものであれば所有する価値があるものだ。
しかしながら、不動産販売においては、毎月賃貸費用を払うより不動産ローンという借金の方が安いという売り文句がある。
これについては、過去にも説明したが、資産価値の時価で考えなければいけない。
不動産を所有することにより、一般的にその資産は時価評価すると価値が下がってしまう。それに対し賃貸は資産ではないので資産が下がることが無い。
この説明以外にマイホームよりも賃貸が有利な点として、流動性があげられる。
不動産は一旦購入すると、売却が困難である。
人生における家族構成を考えると、子供が自立して家を出ていく期間だけ大きなスペースが必要となり、それは約25年間程度だろう。
不動産を購入するのが30歳代とすると、子供が自立した後は夫婦2人の住めるスペースで充分ということになる。
ここまで考慮すれば35年ローンで家を買って所有することと賃貸で柔軟にスペースと賃料を選択できる差は大きいことがわかる。
マイホーム貧乏とは、マイホーム所有に翻弄され高い返済費を払い続けることと資産価値の減少を指す。
マイホームの支払いは費用ではなく、借金の返済であり、借金の元本以外に利息も支払うこととなる。
そして途中でマイホームを手放さなければならない事情が出た場合、ほとんどが売却しても借金が残るほど時価評価が下落しているのだ。
これが資産を自己資本(頭金)を大きく上回り、全ての資産を不動産に集中投資することの恐ろしさだ。
マイホームは資産価値が増加する時代では所有の価値があった。マイホームと同じだけの借金をするのであれば、その借金で分散投資をして資産価値が増加する資産を持つ方が懸命である。