›2 24, 2011

労働者の賃金が減って日系企業の株価が上昇

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リーマンショック後の日本の大企業の経営の変化に着目している。
それはなりふり構わず利益を出すことに執着が見られることである。
需要が低迷する中で、企業は供給能力が過剰であった。日本経済にみられるデフレギャップと呼ばれる需給の差は40兆円と言われ日本のGDP500兆円の8%にも相当する。物価は需給で決まるのでこれがデフレの大きな元凶と言われている。

企業では供給過剰解消のために、コスト削減を下請け企業から従業員のリストラに至るまで徹底して行っている。
その結果が家計の世帯所得の減少というデータに表れている。

世帯所得は15年前から20%減少し530万円平均という厚労省のデータがある。ちなみに世帯所得の約20%が年金受給である。
これが更にGDPの最大のウェイトを占める消費活動を減少させ、需要が下がりデフレが拡大するというデフレスパイラルに陥っている原因である。

しかし、企業はゴーイングコンサーン(永続企業)を目的とするため、資産売却で解散を選択せず、利益の出せる体質に縮小させてでも存続させることが明確になったと感じている。
その結果、企業は売上は低迷しても利益は出せる体質になっているところが大きい。今後さらに売り上げが下がっても同様にコストカットで利益を追求していく姿勢が見られたのが昨年だと思う。

株価は1株当たり利益や将来のキャッシュフローの現在価値を資本コスト(資金調達コスト)で割り引いて算出されるが、これがプラスになることを日本の企業は示したと感じる。これが明確であれば、企業の資産価値以上の企業の価値(時価総額)となりうるのでPBRが1以下ということは無くなる。
つまり株価は上昇する。

さて、そうはいっても日本経済は衰退し賃金も減少する。世帯所得が低くなり続ける社会に夢は無いが、希望は株価の上昇だ。
もちろん経済成長のない国家の株式を購入するのは、相対的には馬鹿らしい行為ではあるが、賃金収入のみに頼ったり、銀行預金で塩漬けというのは希望が無いどころか、今後の生活水準を低下させていかなければ習い行為となるのではなかろうか。


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