›1 11, 2011

ぼくは都会のロビンソン

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近代社会の幸福は物質的豊かさだと多くの人が思っている。電化製品を揃え、良いところに住み、余暇には贅沢をすることが幸福であると思いがちだ。周りの人の贅沢をうらやましいと思うことも多い。
この本の筆者は明らかに貧乏である。風呂なし、ガス無しの狭い部屋に住み、定職にも就いていない。ネット難民と呼ばれる連中よりも収入が少ないかもしれない。
それでも、生活の中の知恵とゆとりから、その生活に幸福を感じ、正直憧れさえ感じた。

金は無くても人間らしい生活はできるのだ。そして社会人が失った自由を獲得している。

金が貯まると放浪の旅に、世界中を回る。貧乏なバックパッカーだ。だが、金をかけた旅とは違う、現地に密着した縛られない旅、時間を気にせず、目的地も決めない旅というのは素晴らしい。金は掛けないが、とても贅沢な行為だと思う。

また、生活の知恵も素晴らしい。ネット難民の連中がインスタント食品やコンビニで買う食費よりも遥かに安く生活することができる。食材を八百屋で買い、自分で調理することにより、より安く健康的でおいしい料理を楽しむことができるのだ。
圧力鍋、多構造鍋などを利用することにより金を掛けずに高度な料理をする方法も満載だ。

乞食では無いが、都会の中でロビンソン・クルーソーのように自活する方法を知ることができる。エコロジーが叫ばれているが、本来のエコはこのような生活にこそあるのだと思った。そして幸福は決して物質的な豊かさでは無いということを教えてくれる本であった。


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