›12 28, 2010

また垂直統合の時代に向かうのか

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iPhone、iPad、iPodが好調なアップル社であるが、アップル社の特徴として、ハードウェアを自前で生産していない点がある。
いわゆる水平分散であり、電子部品の調達を行い、EMSと呼ばれる製造組立会社が生産をしている。
そもそも自前で全ての電子部品をつくることは既にできないし効率的では無いため、得意分野に経営資源を集中する戦略として日本の電機メーカを引き離すモデルであった。
ところが、斬新で素晴らしいアップル社の製品・サービスは真似されている。真似をしているのは、アップルの製品に組み込まれる電子部品メーカの親玉である日韓の電機メーカだ。
シャープ、東芝がパネルをアップル向けに増産というのは、アップルの最終製品としての競合であるサムソンの台頭にあるだろう。サムソンはスマートフォンとしてギャラクシーを展開し、販売を拡大している。
これまでサプライヤーだった企業が競合となると、アップルは競合からの調達で不利な状況になるのは明白だ。

他方、アップルの製品はハードウェアとソフトウェアが一体型である。パソコンの時は一体型の垂直統合生産を行い、ソフト専業でハードウェアを選ばないマイクロソフトに敗れた。スマートフォンにおいては、生産は行っていないが、ハードとソフトが一体である。そして他社のスマートフォンはソフトはGoogleのAndroidに依存している。
複雑な構成であるが、電機メーカはハードウェアをデバイスの一部を垂直統合しておきながら、ソフトウェアは外部のプラットフォームを利用している。

シャープにしても東芝にしても、最終製品をつくっている電機メーカである。シャープはスマートフォン、電子ブックとしてガラパゴスを展開していく。
最終製品をつくっていない電子部品メーカも多くあるが、かなり寡占化が進んだパネルにおいては、今後は台湾パネルということも考えられるが、いずれにせよ、EMSも自社ブランドを展開するようになる時代である。
生産量がだぶつきが無く適正化されるようになると、また垂直統合モデルが見直されるのかもしれない。

液晶テレビに関しては、わずか5年ほど前には、シャープの亀山工場のパネル生産という垂直統合モデルが絶賛された。その後、パネルメーカから調達、EMSで組立を行う水平分散モデルが絶賛されるようになった。そしてまた垂直統合モデルが競争力を持つ時代が来るのかもしれない。


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