›11 25, 2010

技術の海外流出では無く、技術者の海外流出

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NHKのドキュメント番組で日本人技術者を採用する大手中国企業が取り上げられた。その他にも日本の製造業を買収する中国メーカもテレビで取り上げられることがあった。今、新興国のメーカが欲しいのは日本の技術なのだ。

かつては韓国に日本の半導体技術者が週末出張して技術を教え金を貰うという現象も見られた。もちろん勤務している企業に対する反逆行為である。
しかし、今は日本の製造業は円高などの問題で競争力を急激に失い、人員をリストラする現象が多く見られる。失業者や定年退職者は日本ではその技術で受け入れてもらえる企業が無い為、海外の企業に転職するケースが増えているのだ。

衝撃的であったのは、新興国の製造業は技術が無いことが弱みであるので、日本人技術者が開発した製品とアピールしている点である。
http://diamond.jp/articles/-/10139
最近日本でもよく見かける中国家電メーカのハイアールのドラム式洗濯乾燥機は設計、開発、デザインに至るまで、担当したのはハイアールに雇われる日本人とのことだ。
今や新興国の製造業のあらゆる製品に日本人技術者の技術が組み込まれていると見た方が良いようだ。日本企業は技術を確立するために試行錯誤や失敗を重ねてきたのだが、そのような過程を一気に飛び越えて完成された技術が新興国メーカに安価に渡ってしまう。

とても嘆かわしい事実だが、職を失い、生活に困り、やりがいを失った技術者にとっては、その全てを満たしてくれる企業が海外にあれば、やはり飛びついてしまうのも無理は無いと思う。うしろめたさなど無く、むしろ若い頃の情熱を取り戻したようで生き生きとしている人もいる。

そして、日本の技術流出などおかまいなしの人材ヘッドハンティングを行う企業。中国メーカに採用される前段階の試験でも、日本の技術をさらけ出す。技術を出して採用されない可能性もある。
このような状況はテレビで報道される前から、様々なところで耳にしていたことである。しかし、最近では技術を1年などの短期間で教えた後に、いきなり契約解除、解雇になってしまう日本人が戻ってきているという話も聞いた。自分が子供のころは技術者が安定した仕事だと言い聞かされてきた。しかし技術力を持っていても雇用される場所がなければ能力を発揮することができない。今後製造業の海外への生産拠点の移転が進むことにより、リストラや倒産などによる失業者はますます増えるだろう。定年退職者も増える。その時、技術者はどこへ行けばよいのか。。

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