›11 11, 2010

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと

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開業率が減り倒産が増えているのに、この本は売れている。起業に対する具体的な本が売れているということは起業を志望している人が増えているということだろうか。
起業したい人のほとんどが起業経験が無いので起業のイメージがつかみにくい。そしてファイナンス(資金調達)についての知識が無い。
起業を考えるにあたり、自分の起業家としての適正、失敗時のリスク、そして運営のためのファイナンスの3つが最重要項目だと思うが、この本はまさにその3点に絞った本だと言える。
起業しても多くが失敗する。失敗、つまり倒産すると大変なことになるという先入観がある。確かにそのような面がこれまで大きかった。事業の失敗は人格までも否定されてしまうイメージがあり、倒産を回避するために銀行以外の怪しいところからも資金調達を行い多重債務者になってしまう例も多い。
しかし、決してそのような失敗して全てを失うだけでは無いということが、この本で強く主張されていることだ。

そもそも、会社の資産と起業家の資産は本来分離されている(所有と経営の分離)があるが、銀行借入では個人補償、VC等からの資本での調達では投資契約での個人補償(有効性は無い場合が多いが)でベンチャー企業、中小企業は社長と一体になってしまっている例が多い。

ところが現在では起業家向けスタートアップ融資のような制度融資やVCからの調達で、個人補償が無い理想形もつくることは可能だ。そもそも自分の貯金だけで始めることのできるビジネスモデルというのも、インターネットの利用などで可能性が広がっている。
低金利、低コストでの資金調達が過去の歴史からは考えられないほど起業家に有利な条件で資金調達ができる環境ということもできる。

起業家の多くが、ビジネスそのものには精通していてもそれを運営するためのファイナンス、会計などの知識が欠落していることが多い。知らなければ不利な条件を飲まざるを得ないことが非常に多いと感じる。本1冊の知識だけで、失敗時のリスク回避ができ、失敗時の人生のやり直しが大きく異なるというのも驚愕の事実だ。


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