›9 03, 2010

マイホーム借金地獄

Category: 日々雑感 / 0 Comments: Post / View

不動産販売の知人から聞いたのだが、マイホームのローン(つまり借金)が返せない人が急増しているそうだ。
結婚し、家庭を持つと当たり前のようにマイホームを持つ意識が今でも高いようだ。そして非常に低い銀行金利によるローンのため、賃貸よりもマイホームを買った方が良いのではないかと思ってしまう。不動産屋のセールストークもそこにつきるようだ。
しかし人生最大の買い物にもかかわらず、重要な認識が欠落している人が非常に多いようだ。

・住宅ローンは借金である。
・住宅ローンと言いながら、人に対する貸し付けである。
・低金利だがデフレでは借金は巨大化する。
・新築は買った瞬間から時価が下落する。
・賃金は過去の日本の歴史のように上昇しない。
・人口が減るため、不動産の需要は上昇しない。

それぞれ見ていこう。

・住宅ローンは借金である。
「毎月ローンを支払う」とよく言うが、「毎月借金を返済する」の間違いである。借金を返すという認識が不足している人が多いようだ。

・住宅ローンと言いながら、人に対する貸し付けである。
米国では住宅ローンは住宅に対する貸付であり、ノンリコースローンと呼ばれる。つまり住宅価格の時価が下落したらその住宅を売却したら終わりなのだが、日本は人に対し貸し付けをしているため、住宅価格の変動は借金と関係が無い。ちなみに米国では金融危機前まで住宅価格というのはずっと上昇していて、住宅価格の時価が上昇したらさらにそのぶんだけ借りることができ、それが消費に回った。
日本では、住宅価格が下落しようが、住宅を失おうが、その借金を返さないといけない。サラ金で株を買って株価下落しても借金は返さないといけないのは人に対する貸付だからだ。住宅ローンというのは名ばかりで低金利で借りれる借金である。

・低金利だがデフレでは借金は巨大化する。
低金利で借金して喜んでいる人が多い。金利2%以下というのは他のローン(たとえば自動車ローン)ではあり得ない低金利だ。しかし、デフレ下においては現金の目に見えない価値は日々上がり、借金は日々膨れ上がっているという認識を忘れてはいないだろうか。将来インフレが来ると10年以上前から言われ逆にデフレが進行している。いつかハイパーインフレが来ることを信じているのであれば、その時借金は大きく目減りするだろう。しかしそんなインフレ論者が多いにもかかわらず、資産を増やしたのは郵貯に預けたままの年寄りの預金であった。

・新築は買った瞬間から時価が下落する。
全てとは言い切れないが、多くが買ったら新築は中古物件になり時価は下落する。もちろん希少性などから時価が上がる物件も存在するが。
頭金1000万円で5000万円の物件を買ったら4000万円の借金をしたことになるが、その後の時価で物件が3500万円に下落したらその人は実質債務超過ということになる。つまり時価3500万円で売ったら、返済できない。

・賃金は過去の日本の歴史のように上昇しない。
賃金上昇で返済を考えてたら危険である。賃金が下落しても返せないと借金の返済ができなくなる危険性がある。

・人口が減るため、不動産の需要は上昇しない。
今後人口が減るのに加えて、不動産が供給過剰である。最近よく報道されているが空家が非常に増えている。

さて、失業したり賃金が下がったりで借金が返せないとどうなるか。マイホームを売却しても時価の下落で借金が返せないようであれば、借金地獄になるか自己破産で借金を帳消しにするかになるだろう。借金が返せない事情は様々あるようであるが、マイホームの売却が増えていると知人が言っていた。
それでもマイホームが下落しているのを逆手に取って、自己破産と親戚による下落した価格で買い取りという手法もあるようだ。
これは中小企業の社長なんかが会社の自己破産と同時に担保の自宅を競売にかけられた場合なんかにも使われる手法のようだ。

いずれにしても、借金は怖いものという認識の不足が一番恐ろしいと思う。


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