›8 11, 2010

映画ハゲタカ

Category: 書評 / 0 Comments: Post / View

小説のハゲタカがNHKドラマ化され、そして映画化された。小説でハゲタカ・シリーズを読んでいるため映画は見なかったのだが、先日NHKで放送されているので見てみた。
ドラマ化の時もそうだったが、ずいぶんと原作と違うし、買収提案の詳細も省かれているために物足りなく感じるのだが、金融に携わっていないお茶の間の視聴者にとっては分かりやすいし、人間関係のドラマとしてのほうが楽しめるということだろう。
ストーリーは、米国投資銀行出身の鷲津が今度は中国のファンドに狙われた日本企業(大手自動車メーカ)を助けるという設定だ。ドラマのほうでは、鷲津は「腐った日本を買いまくる」設定で、ハゲタカという異名を持つ狡猾な手口で次々と業績悪化している老舗企業を買収していき、ITベンチャーなんかとも金融戦争になっていくという話だった。時代的にはリップルウッドのようなハゲタカと呼ばれた企業による銀行などの買収劇とライブドアによるニッポン放送とフジテレビ買収劇を舞台裏を紹介しながら別ドラマにした話だった。

映画ハゲタカは、続編だが数兆円の資産規模を持つ中国政府の管理するファンドが日本の技術を手に入れるために自動車会社にTOBを仕掛けるストーリーだ。鷲津はホワイトナイトとして登場するが、資産規模でかなう訳がなく、サブプライムローンで破綻が予測される米国の投資銀行を活用して対抗する。

鷲津が金儲けに徹する姿よりも人間味あふれる姿なのが驚かされる。そして、海外に日本企業が買われるという状況は着実に進みつつあり、中国資本になった老舗企業はずいぶんと増えているし、これからも増えるだろう。今のところは友好的買収や再建なのだが、ドラマのように敵対的買収という手段が取られるようになるのだろうか。
日本を代表する企業が買われるのだろうか。十分にあり得る話である。

しかし、今回の鷲津のライバルの設定の中国人が日本ではあり得ない貧困生活から成りあがるというのは、現実にもそういう人が中国にはたくさんいるからすごいと思う。
ハングリー精神は裕福になっても持ち続けるものなのだろうか。

Comments