›8 02, 2010

ロジャー&ミー|マイケル・ムーア

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今や有名となったマイケル・ムーアのデビュー映画作品とのことで、今更ながら見てみた。

「ロジャー&ミー」は自動車会社GMの大規模リストラ(レイオフ)によりGMが主産業で繁栄していたフリントという都市が崩壊していく姿の取材と、当時のCEOロジャー・スミスに会いに行く姿をドキュメンタリーにした映画である。
他の作品土曜に、映画タイトルからは何の話かまったくわからない。これは結構問題だ。

ムーア監督の映画はどれも同じスタイルで、社会問題に対してインタビューと突撃訪問をして、報道されない裏事情や問題の原因となっている中心人物へのアポ無しインタビュー作戦というのも最初の作品から一貫したスタイルが貫かれている。

日本でも自動車産業によって成り立っている地域が多数ある。自動車産業だけでなく、工業地域というのは特定の企業の雇用によって成り立っているところは多い。
GMによる当時のレイオフは非常にインパクトが大きかったことがわかった。レイオフされた労働者は仕事を失い、商店街は活気を失い、犯罪が多発する。
映画では、生活のために保健所にばれないようにウサギ肉を捌いて売る女や、アパートから追い出すのを仕事とする男への密着取材も重ねている。
以前は良かった生活が崩壊し、地域が崩れていく。何とも恐ろしい光景であった。

そしてこのような光景は日本でも部分的には行われており、将来的には大企業による工場閉鎖によってまったく同じ光景を目にすることになるかもしれないと思った。
現在日本でも中小企業の工場閉鎖なんかは当たり前に行われている。大量の失業者により職安(ハローワーク)に求職者が殺到するシーンなんかも報道されているが、ムーア監督のような密着取材を見たことが無いので現実感が無い。

日本の場合は更に酷い状況になるのではないかと思う。下請け中小企業の社長は多重債務によって個人補償や連帯保証で夜逃げや自殺に追い込まれたり、失業者でも住宅ローンの返済ができず、自己破産や連帯保証で家族や親族まで崩壊したりする姿があるのではないだろうか。米国と違って日本は資産を失って終わりではなく、借金の返済をし続けなければならない。本人が返済できなければ連帯保証人が返済しないといけない。この点が日本の失業者達には重くのしかかってくるだろう。

映画では、家を失った一家が親戚をたよりに車で引っ越ししていく場面があった。頼れる人がいない者はどうなろうのだろう。米国人は楽観的な性格が多く、GMレイオフの時も米国経済が今の日本のように長く悪い状態では無かった。しかし、今の日本でこのようなことが起こったらと考えると背筋に寒いものを感じる。

それでも日本は幸せだ。世界では虐殺、戦争、餓死、不当搾取がまだまだまかり通っている国があるし、報道もされている。
命の保障と基本的人権がある日本で、それさえもない人たちに比べて遥かに幸せな環境にいるという認識があるかどうか。


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