›4 12, 2010

失業の時代

Category: HR(人事) / 0 Comments: Post / View

中国の温家宝首相が公開の場で、「中国の失業者は2億人」と発言した。先進国では失業率が10%超えや20%超えが珍しくない。
日本の失業率は小さく見えるが、企業が解雇できないだけで社内失業者は多い。
実質仕事が無い人がとても多い世の中なのだ。

正直、中国で2億人も失業者がいるのは驚いた。先進国で失業者が多いのは主に人件費の安い中国など発展途上国に仕事が奪われているからであって、中国で失業が多いというのはとても不思議だ。中国の生産現場に行くと大量に若い人がいて、労働集約的な組立や検査業務を行っている。
つい2,3年前は人が足りないといっている日系大手の工場があった。

いったい何故、中国でも失業者が増加しているのだろうか。経済低迷下では失業率増加は合理性があるが、中国は経済成長率も10%を超えるほどの勢いだ。
そうなると生産性の向上により、大量の労働力が不要になったと考えざるを得ない。

確かに中国の製造業が今取り組んでいるのは、工場の生産性の向上であり、設備投資を行って自動化・省力化を凄まじい勢いで進めている。その背景には人件費の向上があり、中国は他のASEAN地域のベトナムなどに比べると人件費が高く、賃金上昇率も高いという問題を抱えている。

日本ではこの前、日本電産の永守社長がブログで民主党の政策を批判し、コア技術である研究開発も含めて海外に出ていく趣旨を発言し、話題になった。
永守氏は批判を恐れず、堂々とこのような発言をするが、同じ考えの製造業経営者は多いはずである。高すぎる法人税、賃金、解雇の制約、円高、国内市場の縮小と日本で生産するとグローバル競争で勝てなくなるという危機感は強い。

製造業が国外に出ていくと、下請や設備メーカはついていくことができない企業は仕事を失うことになる。たとえついていけても現地の労働者を雇わなければ現地企業との競争に勝てない。結果として日本の労働者は職を失うことになるだろう。製造業の労働者が失業したり賃金低下すると今度は小売やサービス業の売上に甚大な影響を及ぼしかねない。

「年収300万円台」というキーワードが数年前に流行ったが、もはや賃金低下の問題では無くなり、失業の時代になるのではないかと懸念される。

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