›11 05, 2009

中国のこれから黄金の10年-ボリュームゾーンの拡大

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先日中国滞在中に中国のビジネス雑誌を読んだのだが、日本では考えられないような高景気を謳歌している話題が多かった。
中国では昨年の金融危機以降今年の春までの不景気の谷を最後にこれからは長期的に成長する「黄金の10年」がやってくるという話もでているようだ。

確かに金融危機からの脱出は早かった。先進国が不景気に苦しむ中、中国は2桁の成長になりそうだ。しかし景気回復の背景には中国政府による過剰な財政出動があった。その額57兆円であり、GDP比率で16%にも及ぶ、米国、日本の財政出動はそれぞれ6%、5%に対して3倍ほどの景気刺激策だ。
家電下郷や汽車下郷といった家電製品や自動車の購入補助金が想像以上に効果があった。

先進国と違い、まだ電化製品、自動車を持っていない層の比率が著しく大きい為、効果が非常に大きかった。
内需の拡大が大きいことが世界中から注目されるにいたった。
はたして中国の景気回復・成長が財政出動と為替操作(元安)による過剰流動性の結果のバブルなのか、いつまで続くのか、様々な意見が飛び交っている。

○ボリュームゾーン革命
中国の経済成長が本物でこれから長く続くと言われている理由として内需の拡大があげられる。現在6千万人程度しかいない1万ドル以上の所得者が、2020年には3億6千万人に増加すると言われている。
所得が1万ドル以上を超えると家電、自動車、不動産といった先進国がかつて経済成長した中で活発になった消費活動が見込めるのだ。そしてこのようなゾーンをボリュームゾーンと呼んで各社重点的に攻略を狙っている。

ボリュームゾーン層が大幅に伸びることによってもっとも恩恵を受けるのは中国メーカーである。
先進国メーカーは先進国の富裕層を重点的に攻略するためにハイスペック、高価格、高品質、多様化したニーズに応えられる豊富なオプション機能に開発とマーケティングの重点を置いてきた。
ところが、ボリュームゾーン層が必要とするのは、画一的で低価格な製品なのだ。日本でも高度成長期に売れたものを思い出してほしい。
日本で30年前に売れた品質のもので良ければ中国で低価格で大量生産することができてしまう。

○中国の不安要因
中国が順調に発展しボリュームゾーンが拡大することが前提であったが、その前に沈没する可能性も議論されている。これまで中国は先進国向け輸出で外需依存であったが、それは為替操作による元安が競争力の源であった。外貨準備高はドルベースで膨れ上がった。そして中国人民銀行(中央銀行)は2兆ドルを抱え、人民元を大量に発行していると言われている。非公表なので実態は不明だ。だが事実、銀行の過剰融資により過剰流動性が発生している。

政治的にも少数民族を力で抑えているため、いつ紛争や革命が起こるかわからない。

しかし、中国人の経営者達と話していると誰もそのような不安は口にしない。高景気で完全に浮かれ、まるで日本のバブル期を見ているような気がした。

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