›11 02, 2009

共生者 株式市場の黒幕とヤクザマネー

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共生者という言葉は警視庁が出したらしい。これまでヤクザ、フロント企業が株式市場に入り込んで仕手戦により一般投資家から金を巻き上げていたことは良く知られているが、最近では本物の金融のプロの連中、すなわち証券マンや投資銀行マンがヤクザな連中と金融市場、事業会社とのパイプ役になっていることから共生者と呼ばれることになり厳重に警戒されているようだ。

本書では、90年代から仕手プロの連中がどのようにボロ株会社と共生してきたか、また最新の手口まで非常に詳しく書かれている。筆者は長年証券業界に従事し仕手プロとの交流も深く、またヤクザの脅しにもあったりとかなりあっちよりの方らしいが、だからこそ知っている深い闇について知ることができる。

90年代の仕手はだいたい企業側と仕手側の両方にメリットがあった。企業側は赤字経営で資金繰りに苦しく株価は100円以下のボロ株ときている。それでも企業再生をしたいと目論む。仕手側が資金調達に応じるが企業側の収益を配当などという形で返してもらおうなどと当然思っていない。株価の上昇によるキャタルゲインで回収というのが全てだった。要するに損をするのはその他の株主、一般投資家ということだ。資金調達と企業側の発表リリースをたくみに使い提灯を上げ、売り方(空売り連中)を欺き、いかに高株価をつくるかといったテクニックと手口がそこにはあった。

2000年以降は仕手の手口は大きく様変わりした。資金調達に絡み、海外タックスヘイブンの投資ファンドによる出資スキームや空売りによって株価下落で儲けるMSCBの手口や市場外取引だ。企業側も資金調達により延命することができる。
ここでも損をするのはバクチに手を出す一般投資家や既存の株主だ。

本書では、仕手のプロを実名を出して、その生い立ちから社交まで詳しく書いている。そして更なる最新の手口にも触れている。

ギャンブルで確実にもうかるのは胴元だと言われる。株式市場がギャンブルならその仲介をしている証券取引所、証券会社が胴元ということになる。
取引が活発になれば手数料収入が増えるからだ。そんなこともあってか徹底的に取り締まれなかったり、共生する道を歩む者も多いのだろう。

仕手銘柄には手を出すと大やけどをすること間違いなしだな。


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