›9 01, 2009

闇金ウシジマくん 10 |普通のサラリーマンの絶望

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闇金ウシジマくん10巻から始まる新たなストーリーの主人公は闇金とは無縁のサラリーマンだ。結局最後まで闇金とは直接係ることは無かったのだが、家庭持ちサラリーマンの鬱積した日常にやや共感が持てる。

大卒でそこそこの企業に入り営業マンとなった主人公だが、幸せとは程遠い。営業成績が落ちたことで上司に叱責を受け、後輩からは陰でこそこそ言われる。仕事は終電まで帰れない。嫁は2人の子育てで疲弊しストレスが溜まっていて、2人とも自由な時間なんか持てないのだ。
こんな家庭はどこにでもある一般的な日常じゃないだろうか?

満員電車に持っていても、サラリーマンは我慢の日常、景気も悪くて不安も多く崖っぷちの気分の人も案外多いと思う。ちょっと背中を押したらもう崖から落ちてしまうような状態だ。

何が楽しくて生きているの?

子供の成長のための義務と家庭を守る責任感。主人公も毎日自分に言い聞かせて行きたくない会社に行くのだ。

そこから脱落したもの、ストレス発散のための遊びからサラ金に手を出し人生が崩壊していくもの、不幸せな人が沢山出てくるが、自分の周りにもいるのではないだろうか。

会社を辞めたい?安直な気持ちの考えは、ずいぶん甘くないだろうか。

職場でも家庭でもやなことは沢山あるし、誰もが我慢して生活を取り繕っているだけなのかもしれない。

闇金ウシジマくんでは、かなり本質的なサラリーマンの気持ちを生々しく代弁している。また一歩道を外したサラリーマンがどれほど悲惨な人生になってしまうかも。

読後には深いため息をついたが、しばらくして頑張ろうという気持ちが湧いてきたから不思議だ。


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