›9 01, 2009

2009年版中小企業白書

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2009年版中小企業白書は驚愕の内容だ。
2009年3月までの業況判断DIや生産指数、在庫指数などあらゆるデータ、グラフが急降下している。崖から落下するようなイメージだ。
2009年8月では世界的な財政出動や景気対策により大企業の生産が回復基調にある。ただし大企業の生産も未だに金融危機前の7割程度の回復しか無いのに利益が回復しているという点に注目したい。
中小企業白書では、下請取引企業の業況判断DIが下請でない中小企業より遥かに悪化していることが示されている。
つまり、大企業の生産調整により下請け中小企業が派遣社員と同じように調整弁の役割をしていることがわかる。
2002年から2007年まで続いた好景気は大企業が中心であったことがわかる。事実、中小企業の売上高経常利益率は大企業に比べると低く、さらに中小企業の4割が形状利益がマイナスとなっている。

また、重要な点として中小企業は良くも悪くも経営者の能力に依存してる。中小企業のイノベーションは経営者のチャレンジ精神、経営者の創意工夫、経営者の迅速な意思決定に依存している。大企業のように誰が経営者でも会社運営に支障が無い会社とは大違いである。

さらに製造業がサービス業に移行しつつあることもわかる。成熟した先進国において第二次産業の付加価値は薄れ、発展途上国にかなわない。第三次産業に移行していることがわかる。だが、現在の国の政策は雇用や開発の助成金の多くが製造業に注がれ延命処置になっているところも同時に問題な気がする。

製造業は市場が国内から海外に移っていることも注目したい。日本は少子高齢化社会かつ人口が減少していく経済的には衰退期に入っている。このような状況では海外の成長市場に商品を売らなければ生存ができないことを示しているのだと思う。輸出をしている中小企業は2002年以降業績が良かったが、リーマンショック以降は急降下している。だが長期的にはやはり輸出に頼らないといけない、たとえ円高になろうが。



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