›7 21, 2009

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊

Category: HR(人事) / 0 Comments: Post / View

富士通の元人事部の城氏による富士通衰退を報告した衝撃の書だった。成果主義が日本の雇用関係に合わないことから、強引に推し進めた結果内部から崩壊が始まり、やがて電機業界へと伝染していった経緯がわかる。

しかし、それにしても電機業界の衰退は酷いと思う。既に死に体の巨大総合電機メーカーが10年以上も改革無しにそもまま延命している。

富士通もかつては世界を代表する企業であったが、今や落ちぶれまくっている。そして世界主義を取り入れたことにより、無理が生じて工場で自殺者が出るわ、優秀な社員から同業他社に転職して中途採用は下請けや大卒以下レベルしか入ってこないなどさんざんな内容が綴られている。

就職ランキングで少しでも順位を上げるため、採用外のレベルの低い大学にまで会社説明会を開くありさまである。

本業ではさっぱり利益が出ないため、必殺技は子会社の株売却だ。富士通は優良企業ファナックの親会社にあたる。

読むと確かに雇用の問題が衰退している側面はある。年功序列は規模拡大と収益拡大が前提の仕組みだ。しかし、それ以上に電機業界衰退の原因があると思う。グローバル化とメカトロ(電気と機械の融合技術)からデジタルへの移行、リストラ不足などだ。

雇用の問題は電機業界以外でも当てはまる。これまで人切りをしてこなかったトヨタ、バブル期の大量採用を抱えたまま規模が拡大していない業界、例えば大手総合商社、広告、都市銀行、生保、規制で守られているテレビ局といった突出して賃金が高い企業も対応を迫られるだろう。

電機業界にある富士通のライバルNECや世界的ブランドだが低迷しているソニー、日立製作所、東芝、パナソニックは迅速な対応が必要なので見物だ。

Comments