›6 18, 2009

住宅を購入する判断基準

Category: ファイナンス / 0 Comments: Post / View

住宅を買うか、賃貸にするべきかは様々な判断基準がある。その人の価値観の問題も大きい。
しかしファイナンス的にみると、金銭的に損得で示すことができ、明確な判断基準となる。

ファイナンスではDCFで判断する。「賃貸する場合の毎年の支出」と「購入する場合の毎年の支出・収入」を比較することで金銭的な優越を求めるのだ。
DCF法により賃貸で払い続ける金額の現在価値とローン支払額、修繕費、税金、もろもろを現在価値に直して比較するというものである。
毎年の支出なんかはあくまでも予測でしかないのだが。

今回この話題を出したのは、このようなファイナンス理論で考える場合大きな落とし穴があるのを紹介したい。
ファイナンス理論で住宅購入の判断を行うことは様々なところで行われている。最近もある投資セミナーを行う講師であり、会計士であり企業の財務担当者がこの説明を行っていたのだが、落とし穴を見逃していた。

その方は、「初期投資額を運用した場合の機会損失」を住宅購入の際には考慮しないといけないと指摘している。その指摘さえもないとまったく比較対象ができないのだが、この初期投資額(頭金)の機会損失のみでも不十分である。

住宅購入=頭金(自己資本)+ローン(借金)+ローン金利

ということになるので、借金に対する機会損失も考慮する必要がある。

例えば、頭金(1000万円)+ローン(4000万円)は、自己資本比率20%で5000万円の住宅という不動産資産を購入したことになる。
もっとも新築であれば買った瞬間に時価評価では多くの場合資産価格が減少してしまう(中古になってしまう)という性質の資産である。
ちなみに、時価で4000万円以下になり借金の返済がまだ進んでいない場合、時価評価のバランスシートは債務超過となる。

借金に対する機会損失は大きな落とし穴であるが、日本人の気質(貯蓄志向)なのか借金の金利以上に投資利回りが出せないと考えるのが常識になってしまっているのかもしれない。

さて、上記が企業のバランスシートであった場合、自己資本+借金でビジネスをして当然に借金の金利以上の利回りが出せない限りビジネスが成功しない。
さらに企業の場合自己資本の調達は借金の金利以上のコストがかかる。
そこで自己資本比率を下げて、借金を使うと投下資本に対する利回りが向上する(ROEの上昇)ので、借金はレバレッジと呼ばれるのである。

住宅を買う判断基準にファイナンスを取り入れるのであれば、当然同様に考えなければならないのだ。

現在の環境では新築住宅が購入後値上がりするというのは非常に限られている。(購入後高く売りに出している人もいるが、値段を付けているだけで売れていなければその価格は適正では無い!)一般的には下がることを前提に、価格が下がっても家計のバランスが債務超過にならないように頭金を大きくしてレバレッジを少なくするとか、返済スピードを上げるということがファイナンス理論上は重要になってくる。

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