›6 11, 2009

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる|ドラッカー

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ユニクロの柳井社長の机上にはドラッカーの本数十冊が積まれていた。その本には走り書きが見られる。ファーストリテイリングの優れた経営はドラッカーの経営感の影響を受けている。

そんなことをテレビ番組で見て、ふとドラッカーの本を取り出し、読んでみた。

ネクスト・ソサエティ

2002年に出版された本だ。晩年のドラッカーは21世紀は経済主体から社会について考えることこそ意義がある。そう唱えていた。社会構造は人口構成から、新興国発展から、環境問題から、様々な変化がある。

この本には金融危機以降に自分が思っていることが既に指摘されていて仰天した。

日本の問題点が指摘されている。日本の労働人口の4分の1が製造業に従事している。それが2010年には8分の1から10分の1にならないといけない、と書かれている。

今まさに起こっている製造業における雇用過剰を2002年から2007年にかけて1.5倍から2倍程に収益を上昇させている日本の製造業にその時点で指摘していることを真摯に受け止めた読者がいるだろうか!

さらに、製造業は衰退産業と化した農業と同じ運命であると示唆している。すでに製造業の生産物はありふれたコモディティ化しつつある。農業はかつて労働人口の7割も占めていたが、先進国においては5%を切るほどに低下している。

そして、社会構造の変化から30年間以上継続して事業を行える企業はほとんど存在しなくなるとも書かれている。これは日本においては終身雇用の崩壊を意味する。

ホワイトカラーと呼ばれる知的労働者は肉体労働者ほどの付加価値しかなくなり、知的能力はその知識がなければ業務が遂行できないにもかかわらず価値が置かれなくなる。

消費者が欲しいものが無くなる。

非常に恐ろしい現実を示唆してくれる本だ。

もちろんユニクロの柳井社長も読んでいて、その内容を真摯に受け止めているはずだ。社会構造の変化をどのようにとらえているのだろうか?

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