›5 30, 2009

最強国家ニッポンの設計図 大前 研一最新書

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大前研一最新書である「最強国家ニッポンの設計図」では、経営戦略ではないが政治を中心に日本の国力をいかにして向上するかという点を主眼において書かれている。

以前にも紹介したが、大前研一は政治的にリバタリアンの立場を取っている。リベラルのような公正で平等な自由を得るため権力を積極的に関与するのと違い、リバタリアンでは自由は自己責任が伴い、社会的には成功者もでるし敗北者も出る。ただし機会は平等であり、政府による権力の行使は極力避けるべき立場をとっている。

リバタリアンでは他者の権利を侵害しない限り、各個人の自由を最大限尊重すべきと考えている。

大前氏はさまざまな政策を提言している。国民レベルのシンクタンクとして「株式会社ザ・ブレイン・ジャパン(TBJ)」の設立計画や国家ファンドについても書かれている。

つまり政府は役に立たないので、一部の納得する国民のための組織の設立を呼び掛けているのだ。

教育、雇用、人材についても多くの主張がされているが、基本的には自己能力の向上と自己責任を感じさせる。能力が有る人勝ち、無い人が負ける競争社会であり、そのような競争社会が今のところ最も効率が良いのだからしょうがない。もし能力の優越、生産性に関係なく賃金が同一であり、企業の利益が株主でなく労働者に還元されるのであれば資本主義は崩壊である。

産業発展と地方復活を実現する道州制、そして所得税、住民税、相続税・贈与税の統合税制については、グローバル環境の中で日本が必要な政策を考えさせられる。

もはや政治は日本の国内で考えていればよい問題では無い。日本の税率が高ければ他の国に行けば良いし、移住するのは簡単なことだ。
今後はさらに、移住だけではなく国籍さえも他国に変える人が出てきてもおかしくない。

最強国家ニッポンの設計図 大前 研一

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