›5 25, 2009

ビッグスリーの次は日本の電機か?日立は・・・

Category: 日々雑感 / 0 Comments: Post / View

日本の電機メーカーは軒並み赤字に陥った。その中でも伝統ある電機メーカーの日立製作所の存続を心配している。
米国自動車産業のような債務超過にまでは行かないが、過去の利益の蓄積や過去の資本による資金調達は多額の赤字で大きく毀損されており、大規模なリストラか増資をしなければいずれ存続できなくなるだろう。

過去10年間の業績推移を見てみよう。

2009年  ▲7880億円
2008年  ▲581億円  
2007年  ▲327億円 
2006年    373億円
2005年    514億円
2004年    158億円    
2003年    278億円
2002年  ▲4038億円   
2001年    1043億円  
2000年    169億円 
1999年   ▲3278億円      
-------------------------------
合計   ▲1兆3569億円

これは日立のIRで公開されている。
http://www.hitachi.co.jp/IR/financial/highlight/financialdata.pdf

自己資本比率は30%から20%に低下し、09年3月末では11%にまで低下している。

利益が出ている年もほとんど利益が出ているとは言えず、投下資本利益率、総資産に対する利益を見ても結果として投資する価値を見出せなかったころだろう。

今回は日立を取り上げているが、日本の電機はもはや世界で戦えないほど体力も競争力も低下しているのである。

最近は韓国、中国の白物家電も量販店で見られるが、電機業界において日本は過去の繁栄に胡坐をかいてとんでもない状況に陥ったと思っている。

日本の電機業界が一番儲かったのは、欧米に日本企業より高いコスト構造と低い品質企業が存在していた時期であり、日本はもともとは低品質・低価格というところから世界トップの高品質・高価格製品を売ることが出来た。
このような状況下において低コスト、為替での日本円の相対的安さ、先進国の電化製品、半導体製品の需要から企業が大きく成長できた。

ところが、発展途上国(いまは新興国と呼ぶが)の企業の台頭から低コスト、低価格というかつて日本の電機業界が謳歌した手法そのままに現在ではやられっぱなしである。

更に酷いのは日本の電機業界はグローバル化、部品のデジタル化による水平分散化という流れに乗り遅れてしまった。

また、米国ビッグスリーのようにレガシーコスト(過去の遺産)が存在する。かかえている労働者だ。十分にリストラしていないのも大きな問題だ。日立に見るように多くの労働者を抱えながらも不採算部門からの撤退をせず、人員削減も十分に行っていない。

過去10年間に電機業界がするべきだったことは、セットメーカーとして最終販売・ブランドを強化することに特化し、垂直統合型生産からの脱却。部品は部品メーカーから購入し、組立はEMSで行うことであった。同時に不採算部門を売却し、リストラの実施。デジタル化、インターネット対応のためのM&A。

ところで、日本の自動車メーカーもビッグスリーがいなくなると同じように非常に困る事態に陥ると感じる。自動車もデジタル化と同じようにエンジンがモーターに変わり水平分散の製造方法になるのではないかと思っている。

iPodや任天堂製品がフォックスコンなど巨大EMSで作られ、中国ではほとんど自作のニセモノ家電ができる時代だ。

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