›2 09, 2009

トヨタ衰退の時代は来るのか?

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トヨタ自動車が営業赤字、最終赤字になる見通しだが、イノベーションの視点から今後の自動車業界について考えてみたい。
トヨタ自動車はPBRが1倍を切っており、市場からは解散価値より低い、すなわち今後は減益で資産を食いつぶしてしまう可能性があることを示唆されていると感じる。
世界で最も販売台数が多く、自動車業界リーダーであるトヨタがこのような状況であることは様々な視点から論じられている。

経済状況、サブプライムローン問題を発端とする消費減少、割賦販売の減少などが多いが、技術的にはどうなのかの情報を色々なところで聞いてきた。

その中で最も興味深いのは自動車のコア技術の転換期に来ているという話である。
石油という有限資源に頼った動力源、排気ガスは環境にも悪影響という問題を抱えている。

その中でトヨタのプリウスはハイブリッドカーで環境にやさしく燃費も良いエコカーとして独り勝ちに至った。

しかし、プリウスは既存の自動車の延長に過ぎないという意見が多く聞かれる。プリウスは既存車と同じくエンジンを積み、バッテリーはエンジンを補うためについてる。
電気自動車は、エンジンではなく、モーターとバッテリーで駆動する。ガソリンは基本的に積まず、プラグイン方式で充電して走る。現状では50km程度しか走らないのとリチウムイオン電池が車載用に量産されていないコストが問題となっている。

電気自動車のハイブリッドという概念はGMが開発している、モーターとバッテリー、そして発電機を積んだものの方が定義として適切ではないかと思う。

実際、電気自動車の方が2倍以上の電気の利用率が高く、環境にやさしい。

オバマ政権の打ち出す「グリーン・ニューディール政策」で環境を考慮した車に対する優遇政策というのが出てくるとすると、もしかしたらプリウスは既存自動車とみなされる可能性がある。

もっとも電気自動車を自動車メーカーがつくることは非常に難しい。電気自動車は全く別物であり、むしろ電化製品に近いからだ。
電池、モーターがコア技術となってしまう。もしかしたらコア技術は不要でパソコンのように買ってくれば作れてしまう(組み立てるだけ)かもしれない。

現に日本を含め世界中で少人数のベンチャー企業が、電気自動車のコンセプト、試作車を発表している。

電池は重要な要素であるが、現状では市場が無いので日本の電機メーカーは量産体制を取れない。またそのような体力も無い。

その他方で、中国のBYD(比亜迪)は電池メーカーから電気自動車に参入した。昨年はバフェットも投資している。

車が変わるというのは産業の構造転換だけでなく、環境に対する考え、社会インフラの転換も必要となる。非常に大きな課題が多く、オバマのような世界を主導するほどのリーダーシップが必要となると感じる。同時に非常に夢のあることである。

電気自動車への転換のスムーズなシナリオでは、2010年以降に電気自動車への補助政策が大国から出てくるだろう。既存のガソリンスタンドや家庭では充電設備が少しづつ出てくるだろう。
強引な政策を推し進める結果、既存のガソリン・エンジン車は環境破壊車として扱われ、電気自動車の開発が進み、関連産業も大きく育つ。

もちろん全く進まず、既存の車から切り替わらない可能性も大きい。

しかし、世の中にはBYDのような大企業からベンチャー企業までその夢にかけて開発を進めている企業が出てきている。
過去の遺産(レガシー)に捉われている自動車業界のトップ企業ほど、構造転換が難しいと思われる。

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