›11 07, 2008

急激な円高になるのか

Category: 日々雑感 / 0 Comments: Post / View


米国の金融機関の損失は5四半期も続いており、資本の劣化が止まらない。しかし他方で米国の時価総額の下がり方は金融恐慌震源地であるにもかかわらず、他国に比べて大したことが無い。ドルに関しても円高ドル安ではあるが、ユーロや他の国の通貨に比べては逆に高くなっている。
米国の金融機関が生き延びているのは、米国市民の税金によってなどと言われているが、米国が生き延びているのは、他国の犠牲があってこそのような気もする。その点についても見ていきたい。

米国の金融機関が総破綻(救済含め)の状況に陥ったわけだが、その次はFRBも危ないのではないかと思う。FRBは金融機関への貸付を行っており、それは今後も続き、回収に至ってはいつになるかもわからないだろう。このようなことからFRBは債務超過に陥る可能性が高い。

どこから金融機関への貸付の原資を得るか。たんにドルを印刷すれば良いか。かつてFRB議長 バーナンキは「デフレを解消するにはヘリコプターでドルをばら撒けば良い」と発言したことからヘリコプター・ベンの異名を取る。ちなみにポールソンは資本注入を進めたことから「バズーカ」と呼ばれる。

だが印刷すればダイリューション(希薄化)が起こる。水割りで薄めるてもウィスキーは増えないのと同じである。つまり米ドルの価値はとことん減少することになる。
海外との為替レートが下がりっぱなしになるどころか、米国内はハイパーインフレになってしまう。
海外に買ってもらうしか無い。ECBも欧州の金融機関への貸付でいっぱいで余裕がないため、買わなければならないのは日本、中国、アラブということになる。これらの国の外貨準備高は合計で400兆円程度だ。

これらの国家もドルの下落は自国の資産の減少につながるので売ることもできず、買うこともできないジレンマがある。だが、買い進め米国が立て直さない限り、米国への輸出依存が高いため実体経済への影響を心配しているだろう。しかも日本は軍事力において米国傘下にある。

米国は赤字国家であるため、他国から資金調達できなければ破産することになる。
アイスランドが救済されなければ破綻する状況に追い込まれたのよりもひどい状況が想定される。アイスランドの金融国としての発展も不可解であった。人口30万人という日本の地方都市よりも少ない人口で漁業しか無いような国家である。その国家がGDPで日本をかるく凌駕していた。
やっていることはギャンブルだった。自国の金利を高くして他国から金を集め、レバレッジをかけてハイリスク・ハイリターン投資をしていたようだ。国内に高い金利で出しても借りないので、国民は超低金利の日本からサムライ債などを利用して借りていた。
問題は為替の修正が急激に入ったことだ。

その直後、ニュージーランド、オーストラリアなど高金利の国家の為替も急激に下げている。
円を借りて他国の金利で稼ぐ。為替の変動は無いことを前提にしていた円キャリートレードは逆に解消に向かっている。同時に米国から新興国への投資も解消され、ドルが他国通貨に比べ上昇し、円は更に上昇している。


中国企業は米国との取引が困難な状況が発生している。国際貿易においては船積時で決済するにしても銀行信用で行われるが、米国銀行の信用が無くなってしまったのだ。

昨年までは1ドル80円になると、ミスター円(榊原氏)が言っても、「アホか」位が多かったし、現に80円には到達していない。しかし今では1ドル50円位になるという人がいても、「もしかしたらそうなるかも」と感じる人が出てきているようだ。為替変動、株価やコモディティのボラティリティが高すぎて何が起こってもおかしくないようだ。


テレビで評論家の意見を聞いていても円高に対する評価が分かれている。円高は国力を表現している。購買力が増すので良いことだ。他方、製造業中心の日本は企業業績が悪化し不景気になるという意見だ。

どちらも合っているが説明が足りないのではないだろうか。円高により日本の購買力が上がる。これによって海外消費中心の一般消費者は恩恵を受ける。製造業は円高に対応しないといけない。もしくは円高でメリットがでる企業・産業へと転換しないといけない。輸出による外貨流入が減れば、いずれまた円安となる。要するに輸出型の製造業というのは根本的に発展途上国が有利ということだ。先進国で為替が高い国家では物を生産して売るということは困難になる。

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