›10 28, 2008

中国の時代

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ジム・ロジャーズによる投資による中国攻略法の本である。ジム・ロジャーズというと最近では新聞などでもたまにインタビューが載っているが、中国に対して非常に楽観的なポジションを取っていることで有名である。本人も米国から中国に住まいを移し、娘には中国語の教育を徹底している。これからは中国語が必須であるとも言っている。

そんなことから、この「中国の時代」に関しては多くの書評で中国ひいきだと書かれていたのだが、読んでみると自分はそうは感じなかった。
むしろ、この本は中国の各企業、各市場、文化を徹底して洗い出したデータブックであると感じた。ところどころにあるジム・ロジャーズの主張も決して楽観的なだけではない。不動産、株のバブルについても言及している。
読者はこの本のデータである過去のトラッキングレコード(GDPの成長率、車の普及率など)があまりにも先進国と比べて優れているため、ジムが中国びいきだと感じたのかもしれない。

ジム・ロジャーズのこれまでの主張は最近になって非常に説得力を感じる。「商品の時代」でもあるように、コモディティの重要性は長期的には上昇するだろうし、金(ゴールド)についても注目している。逆に米国経済が復活するのは非常に怪しいと思う。

自分も米国経済が悪化するのは昨年から予期していたが、想定外であったのは、今回の金融恐慌の震源地である米国の株式市場よりも日本や新興国のほうが遥かに悪化していることである。単なるデカップリング理論が成り立たないことによる新興国への影響というのでは説明がつかず、各国の株式市場の厚さ(参加プレイヤー数、売買代金、時価総額)といったことの影響がここまで大きいのかということの驚きである。同時に市場は効率的でも無く、正常に機能さえもしないということが十分にわかった。また、通貨もドルが悪化するよりも、欧州やその他先進国、新興国の方が価値下落が激しい。円高というはドルも実は高いので相当円が強いのだと感じる。

さて、この本を読んでみて、日本や先進国の大企業には無い中国個別企業の急成長は十分にあり得ると思うし、中国市場の可能性も感じられた。同時にこれから中国を襲う不動産バブル、そして政治リスクにも十分な注意を払いながら、自分も新しいポートフォリオを構築して参戦しようかと思う。


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