›10 16, 2008

電子機器の革命前夜

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上海に数日間滞在した。そこで感じたのは消費は日本に比べて活発ではあるが、やはり以前のような毎回来る度に発展していたりするような感じはしなくなってしまっていた。

町並みは完全に世界の先進国の都市と同じになりつつあり、マクドナルド、サイゼリア、吉野家、IKEA、カルフールと食生活も買い物も困らない。上海の株価は米国を遙かに超える下落だが、不動産投資は相変わらずのようで、上海からちょっと離れた郊外にも超高級マンション、住宅がどんどんと建設されていた。ちなみに、それらの邸宅は外見は欧州風(とりわけスペイン風)であり、もう中国らしさなんて感じなかった。邸宅にはどれ位が実際に住むのであろうか?上海市内の住宅は夜になっても暗い建物が多いが、実際に人が住むのであれば、車は売れ、家電も売れるはずである。実際には車の販売台数は減少している。

ほんの今年の前半まではどこの工場(特に電子機器類)もフル生産であったが、急に稼働率は減少している。携帯電話などの販売台数の減少だけが問題では無いようだ。
実はiPhoneが画期的であるのは、これまでの携帯電話と機能が違うだけでは無いということが裾野の部品メーカーを訪問してようやく理解できた。

iPhoneは機能は普通の携帯電話よりも遥かに豊富だが、機構は逆に遥かにシンプルなのだ。
通常の携帯電話は、実は非常に複雑な機構でできてる。2つに折りたためるが、その折りたたみの機構だけでも力加減が閉まる寸前と開ける寸前は不要であることがわかる。
2つに折りたため、さらにテレビを見るように曲げることができる機構はつなぎの中に、情報と電気を伝送するための細いケーブルがある。ボタンやスイッチも多く使用されている。

それが、iPhoneではほぼ皆無になってしまっていることに気付いてはっとさせられた。もしかたらこれが家電においても起こりうるのでは無いかと。今のテレビやエアコンなどの家電は本体にもリモコンにもスイッチやボタンがある。リモコンは非常に複雑だ。
これもiPhoneのようにボタンもスイッチも無く、タッチパネルだけにならないのか。

アナログからデジタルへのイノベーション。日系製造業の多くは部品メーカー(それも単機能の電子部品だ)で、中国には労働集約作業を求めて工場をつくって展開した。電子機器は複雑なアナログ電子部品のかたまりになり、多品種、少量生産、短期製造というのが当たり前になっていった。
しかし、もしかしたらこれからは違うのではないかと思う。いくつかの決められたサイズのタッチパネルに最終製品は集約され、GPSや加速度センサー、ソフト面も海外携帯電話メーカーが採用する台湾製のデバイスのように、多品種、少量から、小品種、大量生産、アナログは終わりデジタルでほんのわずかな最終利用用途へのソフトの変更だけに変わるのではないか。

上海を探索していると、iPhoneの偽物に出くわす。いくつか種類もあるのかもしれない。アップルではなくて良く見たらオレンジのものもあった。使わせてもらったが、機能は問題が無いようである。加速度センサーもタッチパネルも、中に入っている音楽、動画のソフトも問題無く動いた。

アナログからデジタルへのイノベーションとは、同時に誰でも調達もでき、つくることもできるということでもあるようだ。

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