›4 10, 2008

中国は崩壊していくのか?

Category: 日々雑感 / 0 Comments: Post / View

中国に関しては悲観的な観点と楽観的な観点が交差し、訪問するたびごとに両方の気持ちが強くなる。政治に関しては悲観的であり、経済に関しては楽観的な観測である。

上海には毎月のように訪問しているが、その度ごとに変化が見られる。市内にあった古びたバラック部落がいつのまにか撤去されていた。そのブロックはまた再開発をするのだろう。建築中のビルがまだまだある一方、投資用物件のため夜の電気がまばらという現象も見られる。
商業に関しては活発で、物価が上昇も毎回感じられるものの消費意欲が非常に高い。

上海市内の工場団地のアパレル工場のようなローテクは地方都市に追いやられている。しかし人は集まり商業施設が繁盛している。

日本が高度成長期には地道に生活の基礎を築き、金持ちというのはバブル期に入り台頭したのとは違い、上海では最初から資本主義の投資とレバレッジで投機的な商売が多い。

まだ発展段階にもかかわらず大金持ちがこれほど誕生している状況は、日本とはちょっと違うと感じる。

工場経営者も、人件費の上昇からこれからは商業や投機ビジネスに変えるという人が多いようだ。急激に成長したので、失敗を知らないからか、強欲なのか、さらに金儲けを考える輩ばかりで、地道に今の工場での生産を続けようという気概のある中国人が少ない。

中国でも製造業(加工業、組立業)の多くは台湾人など外国人であるが、彼らとも考えが違うようだ。

ある中国人経営者と話した。不動産や株の投資はしないのか聞かれた。本質的にギャンブル好きなのか、賭博的要素で投資というか投機している。
モノをつくるのではくて、投機で設ける時代だと豪語する。

恐らく、ここ数年の株価上昇と不動産価格上昇で大金持ちになった人をたくさん見ているのだろう。製造業で1個数円のモノをこつこつ作るのがバカらしくなったと思える。

しかし、彼には株も不動産の知識も欠落している。話がまったく噛み合わない。何故投機するのかという質問に、彼は値段が上がるからと答え、何故上がるのかという質問には、一般庶民が買うから、という。
企業価値や不動産価格の決め方は無知である。恐らく一般庶民も同じなのだろう。

これはかつての日本のバブルと全く同じ現象であり、価値以上で価格が決まるといつかは暴落するのだ。

そんな話をしても、ゼロから資産を作ったのだから、ゼロに戻ってもいい。借金してでも大儲けしたい。借金なんて返す必要は無いのだから。

これにはハッとさせられた。日本ではそんな考えの人はいないのではないか。自己破産が2回認められているのだから、マイナスにならないゲームなのに多額の借金をしてまでそれを数倍に増やそうと思う人がいない。

中国ではそれが当たり前なのかもしれない。それが恐ろしく感じた。
ただ彼はお金は動かすと増えると言った。動かすと得をするのはゲームの胴元だけだということを知らないのか?ギャンブルだけでなく株でも不動産でも、仲介する金融機関や不動産屋は確実に手数料を抜ける。

何かに投資をすれば金が当たり前のように増えたという感覚を無知な人間が知るほどより恐ろしいことは無いと感じた。

ところで、工業から商業へとビジネスを転換させている経営者もいる。彼は儲かるところに資本を突っ込むという、日本人より遥かに資本主義的感覚を持っている。しかし、長期で何かを成し遂げるとかそういう気概がある中国人がいるのか心配だ。

政治に関しては、チベットの弾圧や各国の聖火デモも報道されておらず、言論の自由、報道の自由といった基本的人権が蔑ろにされている実態が改善されていない。

沿岸地区は豊かになり、内陸もこれから豊かになるだろう。だが、それを一党独裁の共産党がコントロールし続けることが可能なのだろうか。

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