›4 07, 2008

海外新興市場(シンガポールCatalist)

前回のイギリスAIMに続いて今回はシンガポールの新興市場カタリストである。

カタリスト(Catalist)は、2007年12月シンガポール証券取引所(SGX)に新しく開設された新興企業向け市場であり、AIMの模倣でもありライバルでもある。

AIMが欧州、米国市場の企業向けに対し、Catalistはアジア地域という位置づけに将来的にはなる気がする。もしくは、AIMがより時価総額の高いベンチャー企業をターゲットにするのなら、Catalistはよりアーリーステージのベンチャーをターゲットにすることで棲み分けがされるのかもしれない。

AIMよりも更にIPOへのハードルが低い。時価総額、利益、事業年数、による基準は無く、最低株主200人以上という条件はある。申請期間カタリストは5~6週間程度と、圧倒的に短い。

AIM同様に審査は、Sponsorと呼ばれる主幹事証券に該当する機関に一任されている。Catalistもまた、機関投資家向け(プロ向け)市場である。申請書類の作成、上場後の開示、株主総会の運営は当然英語であり、会計基準もUS GAAPあるいは国際財務報告基準が必要とされる。

これでまたMBAとUSCPA保有者ニーズが上昇する気がするので傍観しているところである。

まだ新しく、日本企業の実績が無いどころか情報もそんなにない状態ではあるが、日本の新興市場が低迷し、回復の見込みが少ないことを考慮して、VCがExit先として必死にCatalist攻略を勉強している姿が目に浮かぶ。

日本の新興市場においてIPO数が激減しており、IPO公募価格、初値の騰落率の低下(そもそも公募価格を非常に低く設定しているし、VCはロックアップがかかり売れない場合も多い)、更にその後の株価低迷から、VCはExit先として代替案を必死に探している状況である。

代替案で手っ取り早いのがM&Aであり(監査、主幹事選定も不要)、そして海外新興市場となるだろう。最もそのExitはこれまでの過剰流動性から集めた金をベンチャー企業に高い株価でばら撒き過ぎたツケでもあるのだが。もうこれからはベンチャー企業投資は慎重になるだろうし、バイアウトなど大型案件中心にして、育成(ハンズオン)が必要で手間のかかるベンチャー投資が減少される気がしてならない。

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