›2 25, 2008

PMI(M&A後処理)

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PMI(Post Merger Integration)とは、M&A後の処理のことで、買収先企業の統合とマネジメントを実施するプロセスである。

買収者はM&Aを基本合意した後、買収後計画に基づく統合作業を実施することとなる。
ポストディールと呼ばれる事項だ。

文化(社風)、給与体系、ビジネスモデル、営業スタイル、購買、生産と違う会社を自社が管理するためには買収における数値では表すことのできない様々な障害があるものだ。

それらの障害をクリアし、管理していくことがポストディールで重要な作業だ。またとても泥臭い作業だ。

【事例】
あくまでも一つの事例であるが、製造業における技術獲得、製品製造シナジーを意識した企業買収の例を取り上げてみる。

A社は買収者で市場シェアの高い製品を持つ大企業であり、製品開発から生産まで高い経営管理により高品質の製品を生み出している。

B社は技術特化型の企業であり、非常にニッチな分野の研究開発をしておりその技術は定評があるが赤字続きであり、上場しているが中小規模で同族企業である。

B社は研究開発中のデバイスが将来大きな市場になるという見通しで10年近く前から、その分野の研究に特化してきた。予定では数年前に大きな市場となるという見通しはずれこみ、さらに数年経たないと市場ができず、それまで生存できるかという状況に追い込まれていた。

B社の社長は創業者であり、自分の会社という意識が強いが研究開発中のデバイスは試作販売するものの大赤字で、増資により運転資金を確保した結果、自身と同族による持ち株比率は数%まで低下し、株価も低迷していた。もうこれ以上増資もできず、銀行からも当然融資など受けられない状況まで追い込まれ、どう生き残るか考えるだけで精一杯となっていた。

B社社長は業務提携による資金注入を模索した。そこで登場したのがA社だ。
A社にとってみては、自社の製品と組み合わせるとB社の技術は数年後に莫大な利益を生み出しそうだ。是非とも買収したい。

しかしB社社長は買収という言葉には抵抗がある。創業者としてのプライドも同族が占める経営陣も従業員のことも気がかりだ。

そこでA社は業務提携を最初に行い将来的に完全に買収しようという計画を立てた。B社社長も業務提携という名の資本提携で実質子会社化するが、将来は買い戻すことを視野にいれた譲歩として満足した。これで潰れる事はないと。

そして基本合意し、第三者割当によって当面の運転資金の資金調達を行い、実質子会社となった。同族の持ち株比率はさらに大幅に低下した。

A社はB社をまずは建て直す必要がある。それは赤字を黒字化するだけでなく、会社文化をA社に馴染ませ、開発から生産の体制も見直す必要がある。

A社はPMIを策定し、B社の同族で占められる経営陣の数を減らし、A社の先鋭隊を送り込むこととした。


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