›8 10, 2007

ヘッドハンティング

Category: HR(人事) / 0 Comments: Post / View

プロ・ヘッドハンターが教えるデキる人の引き抜き方」を読んだ。

ヘッドハンティング会社の社長が書いているだけあって、ヘッドハンティングによって会社は劇的に変わるだとか、新卒は役に立たず自社のライバル会社のキーマンを引き抜いて入れれば業績向上するとか、ヘッドハンティング擁護というか推奨をしている本である。

一部は納得できる。企業は人なり、人材の材は財と言われるように、一人のスーパープレイヤーが会社の収益源であることは多い。
一般的に大企業では8:2の法則もあり、2割の優秀な人材が会社の8割の利益をもたらすというものだ。

納得できない点ももちろんある。日本の大企業の新卒採用に対して新卒は役立たないとしている点だ。
自分の経験上は、日本企業というのはどこも企業文化があり、組織を効率的に動かすためにはある程度同じ企業で長期的に働いている必要がある。
能力の高い人を採用してきても、能力が発揮できないケースを沢山見てきた。

むしろ能力が高い人材をヘッドハンティングで入れると、虚栄心、ねたみ、和を乱すなどから組織に悪影響を与えるケースが多い気もする。

企業文化のあまりない歴史の浅いベンチャーの方がヘッドハンティングがあっている気がする。
ところがベンチャーは金を余り持っていないというギャップがある。

この筆者はサーチファーム・ジャパンの社長だが、実は使った事がある。ヘッドハンティングでは有名とのことであるが、まったく成果が無かった。まあ、業界の得意不得意はあるのだろうが。

ところで、ヘッドハンティングと先ほどから書いているが、実は人材紹介、スカウトとの垣根というのがほとんど無くなって来ていると感じる。
スカウトとヘッドハンティングはほぼ同義。企業から欲しい人材を聞いて、対象となる人材をリストから調べたり、実際に探し出してきたりする。

金額もまちまちで、活動費用として年間100万円以上を取るところから、成功報酬として年棒の70%取るところまで色々ある。

他方、人材紹介となるとリクナビなどの登録型の情報から探し出してきて企業に紹介し、紹介料として年棒の25%~35%を取る形態だ。

これまで、人材紹介は積極的に転職を考えている層で、ハンティングは転職意識が無いが優秀な人材層として区別されていた。

それが無くなって来た。やはり登録型の情報だとスペックの低い人材が多いため、スカウト型でないとなかなか良い人材を紹介できないためだ。

そのため、紹介会社も展示会で名刺を集めたり、HPや雑誌や特許情報から探してくる。さらにあらゆる名刺を持っていてさりげなく名刺交換して情報を入手する。アプローチする一人目には、「あなたに興味のある会社があります」とアプローチするが、これは仕掛けに過ぎない。一人目とアプローチして、その会社の同僚やキーマンの情報の探りを入れる。

こうやって優秀な人材の情報を手に入れて活動するのだ。

自分の経験上、ヘッドハンティング会社だからといって優秀な人材を紹介してもらえるとは限らない。確かに確率は高いが費用対効果から疑問が残る。

ちなみにこの人材紹介の業界であるが、景気回復とともに会社数が激増している。在庫費用がかからないため、新規参入が容易なのだ。

だが、このところの上場人材紹介会社の傾向を見ていると、参入者が増えすぎて伸び悩み、利益低下の問題が出てきている気がする。

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