›4 16, 2007

有機EL

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先週のFinetech Japanから新聞で大きく取り上げられている有機ELについて。実際に自分も展示会で見てきたのだが、ソニーの発表した有機ELテレビはすごいと驚いた。
昨年の展示会で奇美(CMO)の有機ELパネルの画質が酷くてこんなもの売れるかと思ったりしたのだが、今回の画質が液晶と変わらないほど綺麗なのだ。むしろコントラスト(明暗)は、液晶はバックライトの点灯というデメリットがあるため、有機ELのほうが遥かに良い。しかし、展示ではコントラスト強調の映像が使われていなかった。。
もっとも27インチなので液晶と比べるとちっぽけに見えるが。

さて、新聞の報道を見ると、
ソニーが豊田自動織機と組んで合弁会社エスティ・エルシーディで生産し、年内月産1000台規模で販売開始とのこと。

東芝も負けじとすぐに製品化を発表。こちらは東芝松下ディスプレイテクノロジー(TMD)と高分子有機EL材料を使う21インチ型を発表している。高分子有機EL材料をインクジェット方式でガラス基板に塗布することで発光層を形成すると言う。

今回有機ELを調べてみたのだが、これまで有機ELは5年以上前から期待されておきながら、まったく市場に現れてこなかった。
それは、有機ELパネルをつくるのに、高価な真空蒸着装置を用い、それでも低い歩留まりからとても生産できるものではなかったのだと思う。ところが、東芝の話を聞いて合点した。
これまでは低分子と言われる、微細分子だったので蒸着させなければならかったのだが、高分子ということで真空蒸着装置でなくとも、インクジェットで塗布してしまえば層を形成できてしまうようだ。

これなら、高額な装置は要らないし、歩留まりも改善できるだろう。高分子での品質が劇的に向上したということなのだろう。

他方で、低分子についても真空蒸着機による生産で三菱重工が行っているとのこと。

もう一点気になるのは、液晶と違って、各社技術をジョイントベンチャーにしたりして自社に保有している点である。液晶のように汎用化させて、市場は拡大するがどこも利益を出せないというような失敗をしたくないということだろう。
もちろんその分ハイリスクな事業となるだろうが。

今回新聞など色々な情報源を見ているが、どこも自社で取り組み有機EL装置メーカーの話が出てこない。

液晶パネルの値下げがこれほど続いているのだから、有機ELのコストではテレビ市場はそもそも対抗できない。超薄型という点とコントラストの高さをアピールして富裕層に高額商品として売る戦略だろうか。
他方、キャノンSEDはどうなってしまったのか。

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