›3 02, 2007

プロデュース社の資本政策

昨年上場した製造業プロデュース社の資本政策を見てみた。ここのところ株価急降下しており、また上場後非常に高い株価がついて資金調達ができたにもかかわらず、もう既に資金繰りが苦しそうなので興味を持った次第だ。

EDINETの有価証券報告書には資本金等の推移ということで過去の資金調達が詳しく書かれている。

最初の5万円での第三者割当は、おそらく額面である5万円である。ここから株式分割を3回行うのであるが、分割前の数値に直すと株価が恐ろしいほど上昇していることがわかる。
ただ、この頃はまだただの町工場レベルだったろうと思う。

まず最初の5万円であるが、創業者への割当とういことで税法上認められる株価で算定したのであろう。
その後、VCなどからの資金調達ラッシュが続く。上場までのVCからの資金調達は総額9億5千万円という計算結果になる。
資本金には半分入れ、半分が資本準備金として組み入れられたはずである。

驚くことに株価は最初の5万円から、半年で12倍になっている。(分割前の株価に直すと)
その後も株価は上昇を続け、さらに株式分割を行った後は、24倍になっている。このような株価で引き受けたということはもう上場が見えたということだろう。
その頃には、取引先のような事業会社からの出資も見える。

上場前にストックオプションを行使して、潜在株を減らしさらに株式分割を行っての上場である。
最終的な上場時に株価は最初の100倍を越えている。

上場前においても高い株価によって資金を調達することにより、創業者のシェア維持が保てた格好になる。

ちなみに、上場前でも9億円以上の調達をしている。

後のVCほどうまみは無いが、リスクもなかったということだろう。
創業者にとっては大成功だった資本政策だったと思う。

VCも上場させるために必死に支援しただろう。だが、上場後はVCは処分を急いだはずだ。
VCが売り出す株が一般投資家が買う形になる。

また、今期でやたら管理部門の人員強化と人件費の上昇が見れるが、それは上場前はVCが支援したが上場後は自社でやらないといけないための強化なのかなと思う。

昨年の設備投資は旺盛だったし、日経平均も良かったので上場時期は非常に良かったと思う。

これからが勝負だと思う。上場した資金は工場の拡大に使った。営業キャッシュフローも無い。
国内も国外も設備投資動向は不明確だ。

しかし上場前に約20社のVCや事業会社から金(しかもすんごい高株価で)を集めるってすごいなと思う。結果的にはVCも儲かったでしょう。まだ保有しているところもあるので、株価が下がり続ければその限りではないけど。

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