›8 30, 2006

ミクシィ上場(上場の目的)

ミクシィが来月上場する。上場時に得られる額は、公募価格*新規発行済株式数(4,500株)で約69億を予定している。
また、売出株主として、社長の笠原氏が350株、ネットエイジが700株、サイバーエージェントが1050株を放出する。
笠原氏は5億円以上を手にすることになるようだ。それでも残り45,350株もある。
(目論見書による)

時価総額は1000億円にも上るのだが、果たして現在で売上高18億、会員数340万人のサービスがこれほどの価値があるのか、とういう疑問も多いだろう。
だが、その考えは凡人である。純資産方式でいけば、会社の現時点での価値なんてたかが知れている。純資産はたったの7億だ。ところが、今後の可能性に期待して高い株価がついてくるのである。

さて、上場の目的であるが、まずは笠原氏が売り出しているように創業者メリットの享受がひとつある。そして調達した資金の使い用途はサーバ補強だけでも10億円以上とのこと。
残りの金の使い道が、経営陣の今後の課題である。もちろん狙いは沢山あるだろう。

企業が成長するには金がかかる。ユーザーが増えることによってサーバ費用、ネットワーク費用も莫大にかかる。技術も難しい。そのようなコストの向上に金を使うことがまず第一。

そして成長戦略については、かつてのYahoo!Japan、楽天、Googleのように買収、技術者取得、新技術の確立など幅広くあるだろう。

資金調達においてはネットベンチャーのため、調達コスト(厳密にはβ)が安定企業に比べて非常に高くなる。だが、そのコスト以上リターンが大きくなると株主になる人は期待しているのである。調達した金の使い道が無くて国債を買おうものなら調達コスト以上のリターンなど当然望めない。

ミクシィの上場には、創業者利得、安定、社会的地位、優秀な技術者の確保、VCの利益など様々あるだろうが、巷で騒がれているような想定以上の株価が付くのであれば、笠原氏とエンジニアのバタラ・ケスマ氏の将来の展望に大きな期待があるといえる。

実際もし自分がミクシィのようなサービス企業の経営者だとしたら?

これほどのロイヤリティ(利用時間の長い)の高く、多くの顧客を持っていたら、とてもわくわくするだろう。

ミクシィがここまで来るのも単に先行者だったというだけではないことも重要だ。SNSサービスはミクシィ誕生時に5社ほどが行っており、その時はGreeとも残りの潰れてしまったサービスともそれほど違いは無かったと思う。その後の使いやすさ改良(当時は機能がほとんど付いていなかった)、技術対応(サーバ増強、負荷分散など)を考えると、技術者ではなくあまりぱっとしない経営者ではあるが、実はすごいことを成し遂げてきたこともわかる。

さて、PERやEVAでどの程度だったらあなたはミクシィ株を買いますか?

EVA=NOPAT-投下資本にかかる資本コスト
   =NOPAT-{投下資本×WACC}
<企業が当期に資本コスト以上の経済価値を作り出したかを見る指標>


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