›5 29, 2006

村上ファンドがシンガポールに移る目的は資金逃でも節税でも無い

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村上龍のJMMメルマガでこんな質問がある。

Q:712
 村上ファンドはシンガポールへ会社を移しましたが、それは「日本からの資金逃
避」ということになるのでしょうか。またそのような傾向は、今後も続くのでしょう
か。

これには、著名なシンクタンク、教授、評論家が回答を寄せていて概ね節税効果を書いているが、どうやらこれは違うのではないか。
(日本国内に投資しているのだから当然資金逃避(キャピタルフライト)では無いという当たり前のコメントについては触れない)

大前研一氏によると村上ファンドのファンド部分(要するに投資家から集めた資金)というのは、もともと日本国内に存在していなかった。
タックスヘイブンの英領ケイマン諸島に、村上ファンドの関連法人としてMAC Japan Active Shareholder Fund, MAC International Ltd. としておかれている。
つまりもともとファンド自体の利益に対して日本国に税金は払っていなかったのだ。

これは、日本のベンチャーキャピタルなどもファンドはタックスヘイブンにおいているところは多々あり、ファンドにとって節税することは当然なのである。

実際にシンガポールに移す会社は、M&Aコンサルティングで、こちらはコンサルティング業務なのである。

単なるコンサルティング業で、投資顧問業法の枠にはひっかからないが、株式の売買指示を出してはいけない。ここが村上ファンドの実態なのであり、また同時にグレーゾーンでもある。

実質的にはM&Aコンサルティング(村上氏自身)は投資に積極的に関与し、アクティビストとして経営に口を出すことによって株価を吊り上げ、収益を上げている。
これはコンサルティングに当たる可能性があるということで、シンガポールに移して日本国内の法律のグレーゾーンを回避するのが目的だと思う。

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