›12 10, 2014

アベノミクスの失敗

Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments: Post / View

アベノミクスの失敗が明確化してきている。「3本の矢」で説明してきた政策は、安倍政権誕生時の景気回復期待のみだったのだ。
日銀の金融緩和とインフレターゲットは円安と資産価格の高騰を引き起こした社会実験であったが、これもまた失敗であった。

景気回復を多くのエコノミストが期待していたが、逆に7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は下方修正された。
日銀の金融緩和は効果があった。但し、それは日本国民にとって有益とはいえない。通貨価値を下落させ、故意にインフレを引き起こしたものの、需要は増えていないのだ。

アベノミクスの需要創出案は、大企業優遇と資産価格高騰によるバブル創出からのトリクルダウンだ。つまり一部の儲かっている人や企業の消費が、中小企業や国民を潤すという考えで、再三にわたり賃上げを依頼してきた。また、公共事業の拡大で必要もない財政出動を行った。

それでも効果が無い。逆に、インフレによる生活費の上昇や財政悪化の不安から消費は増えていないのだ。

4月の消費税増税後、個人消費や設備投資の低迷が続くが、設備投資が伸びないことが顕著に物語っている。
また、株価は上がり収益も増加している自動車業界だが、日本自動車工業会が発表した2014年10月の自動車輸出実績によると、四輪車の輸出台数は前年同月比1.6%減の40万1250台となり、3か月連続で前年同月を下回っているのだ。

つまり、円安でも海外での需要が増加していない。輸出総量は減ったものの、円安で見かけの利益が上がっているだけなのだ。
また、中小企業である下請企業は、その恩恵を受けていない。仕事量が増えている訳では無く、円安メリットどころか原材料費の高騰から原価が圧迫されている状況だ。
金融緩和による過剰流動性は資産バブルにつながることは過去の金融危機を思い出せば分かる。銀行融資残高は緩やかな増加とはいえ、設備投資の需要が有るわけでもない。


また、雇用の改善というが公共事業でムダな支出が増えて非正規社員が増加している。正規社員は2年間で38万人減り、実質賃金は16ヶ月連続減っているのだ。
円安倒産が3倍に増加しているのも見逃せない。

このような状況で、自民党再選でどのような政策を実行するのだろうか。
第一の矢である金融緩和は継続され、円安はさらに続く。円安対策の声が上がっているが、対策するためには金融引締めになり全く逆の金融政策になってしまうから実行不可能な状況だ。
本題、第3の矢の成長戦略における規制緩和を推進すべきであるが、自民党政権では実行できなかったではないか。

とはいえ、小選挙区制度は大きな政党有利であり、現状を打破するためは「小さな政府」を打ち出す政党に頑張ってもらうしか無い。

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