›12 03, 2014

アベノミクスとトリクルダウンとシルバーデモクラシー

Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments: Post / View

「小さな政府」を目指していたみんなの党が解党し、維新の党も支持率が低迷しており、日本における投票者の多数を占める老人に喜ばれる政策を掲げると社会福祉の充実という大きな政府になってしまう。
若者を中心に支持する政党が無く投票が下がってしまう。
このような年寄りに迎合する政治を「シルバーデモクラシー」と呼ぶ。

アベノミクスにより株価が急上昇した反面、円安という負の側面が目立ってきている。金融緩和についてよく考えてみて欲しい。
量的緩和による流動性は、過剰流動性となりバブルを産む。
2%というインフレ目標も、本来の良いインフレというのは需要の増加による価格の上昇だが、需要が無いのに札束を刷って、通貨価値を下落させることによる価格の上昇というとんでもない間違いを犯しているのではないだろうか。

簡単な例を考えてみよう。
1億円の宝くじが当たった人がいると、その人はそのあぶく銭を浪費するだろう。その金が消費に使われれば需要の増加であり、価格の上昇となる。
しかし、実際には宝くじというのは損をする人の方が遥かに多く、約50%が胴元へのテラ銭となる。結果として1億円当選者の他には広く、薄く2億円を多くの人が合計で損をしているのである。
そうなると、損をした人は少しづつ消費を引き締めるので、結果として需要が減退しデフレとなる。

金融緩和とこの宝くじにどれほど差があるだろうか。
アベノミクスにより資産価格が上昇し、働いている人ではなく、不動産や株価が大幅に上昇したのだ。富める者はますます富み、浪費することにより需要が増え、価格が上昇しインフレとなる。
札束を刷って増やしても、通貨の裏付けである国家の信用力が変化している訳でもなく、ウィスキーを水割りで割っているに過ぎない(アルコール総量は変わらない)。
そのため、当たり前のように日本の通貨価値が相対的に下落し、大幅な円安に触れたのだ。

さて、この大規模な金融緩和は、通貨価値下落により圧倒的多数の対して資産を持たない、中~底流階級に広く浅く、負担を強いられることになる。
それに追い打ちをかけて、円安による海外からの輸入品である原材料、エネルギー価格の上昇と増税だ。
消費の落ち込みが顕著に現れた訳だ。
更には、将来への不安から消費ではなく貯蓄へ回す者が非常に多い。これはまたデフレになる最大の要因だ。

実は、この傾向は先進国共通である。新興国から先進国入りする段階の韓国、台湾でさえ、若者は正規社員の道が閉ざされ低賃金の非正規社員が増加している。
社会保障の拡大は、本来は子供を産み、人口を増やし経済の成長に寄与すべきなのが、引退した年寄りへの分配比率が多いあまり出産どころか結婚もできない若者が増加し、国力が衰える傾向なのだ。

根本的に政策が間違っていると思う。しかし、それを解決できる政党、政治家はいるのだろうか。

冒険投資家であり、家族を連れて米国から中国に移住し、現在はシンガポール在住のジム・ロジャースがTVインタビューで言っていた。「日本の子供は移住サせた方が良い」

年金はネズミ講で、子供達は搾取され、産まれた時から多額の借金を背負うのだ。

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