›11 21, 2012

ハイパーインフレ

Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments: Post / View

安倍総裁の「2~3%のインフレターゲット及び国債の日銀直接引受」の発言から、抑制の利かない通貨発行によるハイパーインフレを懸念する声が出てきている。
ハイパーインフレとは、ケーガンによる定義では月率50%、年率1万3千%にも及ぶインフレ率のことをいう。
このような強烈な通貨価値の下落がおこれば日本経済は大混乱に陥るだろう。ここまでいかなくても、日銀がインフレを制御出来なくなった時点でハイパーインフレになっていると言える。

リーマンショック後、ECB、FRBは大規模なマネタリーベースの増大を行った。日銀の量的緩和の規模に比べてあまりにも大きかったため円は買われ円高となっている。またこのことが原因でデフレが進行している一因がある。


日銀総裁 国債の直接引き受けに懸念
日銀の白川総裁は金融政策決定会合のあとの記者会見で、自民党の安倍総裁が、日銀に大胆な金融緩和を求める考えを示していることに関連して、一般論だと断ったうえで、日銀が政府から直接、国債を引き受ければ、通貨の発行に歯止めがかからなくなり、さまざまな問題が生じるとして強い懸念を示しました。

自民党の安倍総裁は、日銀に対し、2%か3%程度の物価上昇率の目標を掲げ、無制限に金融緩和を行うことを求めたり、必要な公共事業の財源に充てるために発行される建設国債を、日銀に引き受けさせることを検討する考えを示しています。
これに関連して、日銀の白川総裁は20日の記者会見で、一般論だと断ったうえで、「日銀が国債の直接引き受けを行えば、通貨の発行に歯止めがかからなくなり、さまざまな問題が生じるというのが内外の歴史の教訓だ」と述べ、政府から直接、日銀が国債を買い入れることに強い懸念を示しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121120/k10013638181000.html

安倍総裁:建設国債の全額日銀引き受け検討 独立性懸念
自民党の安倍晋三総裁は17日、熊本市内で講演し、デフレ脱却について「やるべき公共投資をやって建設国債を日銀に買ってもらうことで強制的にマネーが市場に出ていく」と述べ、政権に復帰した場合、建設国債の全額日銀引き受けを検討する考えを示した。安倍氏は衆院解散が決まった14日以降、大胆な金融緩和策を繰り返し訴えており、日銀の独立性を懸念する見方も出ている。

 建設国債は道路や港湾など公共事業の財源に充てる国債。自民党は10年間で200兆円を防災などに投入する国土強靱(きょうじん)化計画を掲げており、その財源を想定した発言とみられる。ただ、「国の借金を中央銀行が肩代わりしている」と市場が受け止めれば、国債の信用が失われる懸念もある。

 日銀は現在、市場から国債を購入し、資金を供給している。安倍氏の発言は、政府から直接、国債を買い取る「直接引き受け」を念頭に置いた可能性もあるが、財政法は原則として日銀による国債の直接引き受けを禁じている。国会の議決があれば可能だが、放漫財政につながる懸念から財務省などは反対しており、現実に議論されるかはわからない。
http://mainichi.jp/select/news/20121118k0000m020037000c.html


需要とは無関係な貨幣の増大によるマイルドなインフレを目指すリフレ指向だが、いったいどこまで制御可能なのかは誰もわからない。
インフレを制御できなくなった時点で通貨危機に陥り、国内経済は大混乱をきたすだろう。

そもそも通貨の価値は発行体である日本政府の信用力によるものだ。それが日本政府が発行する国債を無制限に日銀が買い取り通貨を発行しマネタリーベースを増大させるのはどこかで破綻する。
国債の価値が無くなってしまった時で、新規国債発行によっても市場で買い手がいなくなり資金調達ができない状態になれば財政破綻だ。

その時、日本はギリシャの債務危機と同じになり、IMFの指導下で大増税と大緊縮が行われ、国内は恐慌のような大不況に襲われるだろう。

インフレターゲットで2~3%のインフレになりつつある将来の日本の状況を想像してみると、保有している通貨の価値が下落していく中で、通貨を実物資産に変えようと誰もが思うようになるが、それは健全な消費活動としての需要創出ではないだろう。電化製品のようなものを買う訳ではなく、なるべく買っても資産価値の下落しないものの購買につながるはずだ。そのような状況下で企業は保有している現金を設備投資に向けるだろうか。高い金利で銀行からの借り入れを増やすだろうか。

デフレには正しい対策を行ってい中ければいけない。日銀の国債直接引受によるインフレターゲット設定による無制限の通貨発行は劇薬だ。健全な需要創出には日本国内で規制がんじがらめの医療や農業や介護といった市場を規制緩和やイノベーションの創出で地道につくっていかなければいけないのではないか。

インフレが起こったらどうなるか。円安になるため外貨は買われ、不動産や金のような実物資産も買われるだろう。これまで、現金保有者は実質金利から得をしタンス預金が最も安全な資産運用だったが、インフレになれば借金が目減りすることになる。違った世界がそこに出現することになる。

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