›11 16, 2012

需給ギャップ解消の論点

Category: 政治経済(Political Economy) / 0 Comments: Post / View

需給ギャップとは、経済の供給力と現実の需要との間の乖離( かいり)のことである。GDPギャップ、デフレギャップとも呼ばれる。
長引く不況対策のため、まずはデフレを止めるために需給ギャップを解消すべく、金融政策、インフレターゲットを推進すべきというのがリフレ論者だ。
選挙の争点にもなるだろう。

需給ギャップ、15兆円に拡大=内閣府
内閣府は15日、日本経済全体の需要と潜在的な供給力の差を示す需給ギャップを7~9月期の国内総生産(GDP)速報値から推計すると、マイナス3.1%になったと発表した。金額に換算すると年間約15兆円の需要不足を意味し、4~6月期(マイナス2.1%)に比べ5兆円程度拡大した。
 需給ギャップは、労働力や生産設備を平均的に投入して生み出せる潜在GDPと、実質GDPとの差。拡大したのは、7~9月期の実質GDPが前期比年率3.5%減と、3四半期ぶりにマイナスに転じたため。ギャップのマイナス幅拡大は日本経済の需要の弱さを示しており、デフレの要因となる。

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012111500924

安倍自民総裁:インフレ目標2-3%、景気刺激型予算を編成
自民党の安倍晋三総裁は15日、衆院選後に政権を奪還すれば、政府・日銀で2-3%のインフレ目標を設定し、デフレ脱却のためにあらゆる政策を総動員して取り組む考えを示した。公共投資を増やした景気刺激型の予算を編成する方針も明らかにした。
(中略)
政権奪還した場合の最初の課題となる来年度予算編成に関しては「デフレ脱却を優先すべき時にきている。景気刺激型の予算を組む、公共投資を増やしていく」と述べた。

政府と日銀の連携の在り方については「一番いいのはインフレ目標を持つことだ。2%がいいのか3%がいいのかは専門家に議論して判断してもらいたい」と指摘。この達成のために「無制限に緩和をしていくことで初めて市場は反応していく」とも語った。

具体的な金融緩和政策手段については「われわれの政府になれば日銀に任せる」と述べた。「いまは野党党首なので例えばということでお話しする」とした上で、日銀の政策金利について「ゼロにするかマイナスにするぐらいのことをして、貸し出し圧力を強めてもらわなければならない」と語った。

日銀の白川方明総裁が来年4月に任期を終えることについて「それを待っているいとまはないので、ただちにできることはやっていきたい」と語った。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDIGMB6TTDVV01.html

果たして、この15兆円という莫大な需給のかい離を、金融政策でマネタリーベースを増加させ、財政出動による需要創出で埋めることができるのかはやってみなければわからない。しかし、現在の円高はユーロとドルの金融緩和が過剰なことが原因であり、少なくともインフレターゲットで最大3%という安倍自民総裁の目標まで日銀と強調して金融緩和すればインフレになる可能性はあるものの、円安誘導にはなるだろう。

また、デフレギャップを埋めるために金融政策でなく、財政出動をどこまで行うかが各政党の政策の注目点だ。当然、財政出動は借金を元に行い、日本では乗数効果も費用対効果も少なく、財政が悪化し、その付けを国民は将来の増税で負担しなければならない。
財政出動でデフレが解消して、財政支出を止めたらまたデフレに逆戻りし、更に財政の悪化、国の借金が膨れ上がるという結果になるかもしれない。

規制緩和による新たな産業や技術革新による投資の増加という構造改革路線の政策も注目すべき点だ。

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