緊縮財政(Austerity)とは、公共事業の縮小や公務員給与削減により財政支出の規模を縮小させることである。
日本の財政は、歳出が税収を上回る状況(財政赤字)が続いているため、財政の緊縮は重要な課題である。日本では政府の債務残高がGDP比200%を超え世界の中でも突出して悪い状況にある。しかし、これにはからくりがあって政務残高は対GDPという指標で見ているという点と、資産を考慮していないという金融の初歩的な問題がある。
確かに日本政府のバランスシートは債務超過であるが、債務残高から資産を引いた額が実質債務である。また、対GDPというは、売上高対負債比率といったフロー対ストックという考えが債務残高の大きさの各国比較をするのに妥当なのかという疑問が残るのだ。
しかしながら、デフレ下においては緊縮財政はさらなる需要不足を招きデフレを悪化させる。同様に増税もデフレ下においては消費活動を低迷させ経済に甚大な悪影響を与える。
欧州の例でみれば、ギリシャ、スペインと財政危機においてドイツの強い主張により緊縮財政を取っていることによりさらなる経済低迷を招いている。
結果として、ユーロ安となり輸出の強いドイツの経済は強くなっている。
最もギリシャでは、政党のポピュリズムから支持基盤である公務員を手厚く保護してきた自業自得である。何しろ4人に1人が公務員で、民間の倍の給料を貰っているという有様だ。年金も手厚く保護されている。このようなぬるま湯政策が財政を悪化させ、自国の産業が育たなかった要因である。急激な需要減ではありながらもデフレを促進する緊縮財政でも実施しなければ、金の出し手は納得しないのだ。
財政支出において公共事業は、一定の乗数効果があるとされているので、経済に対する波及効果が大きい。しかし、消費税増税はGDPにおいて大きな比率を占める消費活動に甚大な悪影響を及ぼすだろう。
横浜市や杉並区ではトップダウンにより自治体の支出の削減を断行したが、公務員は解雇できないので採用を減らしているだけだ。緊縮財政において公共事業は乗数効果があり、投資効果のある者に関しては行うべきではないが、公務員のリストラは増税の前に実施すべきことであろう。
消費税増税に見られるように、最近ではマスメディアまでこぞって消費税増税支持の主張だ。デフレにおいて最もやってはいけないのが消費税増税だろう。
これを例えるならば、ある会社の製品がデフレで売れなくなっている状態であり、尚且つ顧客は全て自社の社員という状況において製品の値上げをするようなものである。
デフレで需要が不足している中で、更なる価格値上げがどのような影響をもたらすか、容易に想像できるだろう。
現在の日本はデフレの解消を政策の第一優先とするべきである。そのため緊縮財政は積極的に進められないが、デフレを悪化させない範囲の緊縮財政は行うべきだ。
例えば、公共事業に関しては乗数効果が1以下というありさまであるので、効果の無い公共事業は行うべきではない。また、公務員給与削減、経費削減も進めるべきである。