経済学の公式でそれぞれの国の経済状況を分析することができる。
最も重要な公式がISバランスあるいは貯蓄投資バランスと呼ばれるものだ。
尚、Investment(投資),SはSavings(貯蓄)の略である。
まず、GDPの支出面からみてみよう。
GDP = C+I+G+(Ex-Im)
(消費+投資+政府+輸出 - 輸入)
(Ex-Im)は経常収支と呼ばれる。国全体の外貨を稼ぐ力をはかる指標だ。
経常収支は、以下の4つに分類される。
1. 貿易収支
2. サービス収支
3. 所得収支
4. 経常移転収支
アメリカは経常収支が赤字であり、日本は最近貿易赤字ではあるものの所得収支などの黒字から経常黒字となっている。
さて、GDPを所得の面で見てみよう。
GDP = C+T+S
(所得 = 消費 + 税金 + 貯蓄)
これらのGDPは等しいので以下の式が得られる。
(S - I)+(T-G) = (Ex - Im)
(民間部門の貯蓄超過+財政収支 =経常収支)
(S-I)を見てわかるように、民間部門の貯蓄から設備投資が行われる。
企業や我々の貯蓄は銀行の負債で、銀行はそれを元に企業に貸し出し設備投資が行われる。
米国は貯蓄が少ない消費社会であるため、過剰投資に陥りやすい。
(T-G)は、税収から政府の支出を行うことである。日本も米国も税収以上の支出を行っており、プライマリーバランス(基礎的財政収支)がマイナスという状態になっている。それを補うために莫大な国債が発行されているのである。
米国ではレーガン政権下、莫大な経常赤字と財政赤字が併存していたため「双子の赤字」と呼ばれたのだ。
また、この式は政府支出を増やすと貿易収支が悪化するということをも意味する。
デフレの日本の特徴は、過剰貯蓄である。この民間部門の過剰貯蓄が使い道が無いため国債に投入され政府支出に使われる。すなわち財政赤字の穴埋めされているのだ。