›8 10, 2012

シャープの5000人リストラ(シャープ社員の現状の心境は・・)

Category: 日々雑感 / 0 Comments: Post / View

シャープは、2012年4~6月期の連結決算は最終損益が1384億円の赤字とのことで、前期巨額の赤字に加えて更なる赤字となっている。
抜本的な構造改革が必要とされており、5千人を削減を発表した。
先日は、富士康(フォックスコン)として知られる台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業からの669億円の出資報道にあるように、もはや自立再建どころでは無い状況だ。

鴻海の郭台銘はわずか10年足らずでEMSと呼ばれる受託生産工場を発展させ、世界的な大企業へと成長させた。
自社ブランドを持たず、徹底した下請けを低賃金、高品質で行う事業形態は特殊に思えるが、EMS企業においても熾烈な競争で淘汰が進み生き抜いた企業だ。
徹底した秘密主義や、軍隊や刑務所のように厳しい規律のある工場の労働は技術では無いが、ビジネスモデルとしては突出していると言えるだろう。

その鴻海が、シャープへの出資は取り消し、延期、もしくは減額と二転三転した報道があった。資本提携発表からシャープの株価は暴落したためである。
自力再建困難となったシャープもかつては、いち早くブラウン管テレビ製造を辞め液晶に注力され評価されたことがあった。
そもそも2流メーカであったシャープは、いち早く経営資源を液晶テレビに集中させることによって、亀山ブランドという国内最大規模の液晶工場構想をぶち上げ、一時はパネルシェア、液晶テレビシェア上位を獲得したのだ。

5000人ものリストラであるが、大阪の電機メーカは三洋はハイアールに売却され、パナソニックも巨額赤字を計上し人員削減に努める中、受け皿企業は少ないだろう。
もはや製造業への転職を諦めないといけない技術者も多数いるのではないか。

シャープの競争力に購買力があったとも言える。悪評高い購買の値切り交渉、支払い条件は日本電産のそれにも通じる。製品に競争力があったはずで、選択と集中を進めた液晶パネル、太陽電池はどちらも強烈な価格下落と需要減のため、現状では事業存続すればするほど赤字が計上されてしまう状況だろう。

とはいえ、シャープの製品群には太陽電池、エアコン、プラズマクラスター空気洗浄機、LED電球、携帯電話・スマートフォン、電子辞書、その他白物家電と総合電機メーカとしての多彩な品ぞろえがある。しかし、多すぎる国内電機メーカと熾烈な競争、デフレ下における価格下落から収益性に乏しい。

IT分野への進出ではGALAPAGOSブランドを立ち上げ電子書籍を展開したが見事に大コケしてしまった。
反原発ムードにもかかわらず、太陽光パネルは採算が合わない事業となっている。

リストラ発表後、シャープの公式ツイッターでは担当者の忸怩たる思いが吐露されている。リストラ計画が明らかにされた日の朝「きょうはツイートしにくいな」、「実はちょっと泣いた」、「じぶんがここでできること、考えてる」と立て続けにツイート。
社内では、将来に対する不安感が蔓延していることだろう。

装置メーカや部材メーカなど納入業者もまた大変な思いをする。シャープは電機メーカとしては二流であっても、セットメーカであり、多くの下請け、ベンダーの頂点に位置している。そのしわ寄せは波及するするだろう。

液晶の時は絶賛されたにもかかわらず、シャープの品格を下げたのは、町田だと手のひらを返したように糾弾されている。さらに片山が更に突き落とした形だ。
アクオスの亀山ブランドはイメージ向上させシャープのブランドを引き上げたが、鴻海による資本注入、今回の大規模リストラで最も大きな影響は、企業としてのイメージダウンなのかもしれない。


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