›6 20, 2012

アメリカ国籍を欲しがる時代から、放棄する時代へ

Category: MBAで使う教科書 / 0 Comments: Post / View

昔はアメリカ国籍が欲しくて憧れる人が多かった。高度成長期の日本では、経済でも文化でもアメリカを目指していた。
アメリカに対する強い憧れを持っている人が多かった。今の、40代、50代の人に多いと思う。
その後、イラク戦争をはじめとした独善的で覇権的な姿を見てからからか、日本人にとってはアメリカは憧れでも何でもなくなってしまった。
日本が経済が成熟したからか、米国文化に飽きたからか、顕著なのは米国留学者数が激減していることだ。
20代、30代は、上の世代よりもむしろ反米意識が強い傾向もみられている。

原爆という悪魔のような核兵器によって、無差別に一般市民の多くを死に至らせた残虐なアメリカの姿を見てきた高齢者から語り継がれてきたはずの人達にも多くのアメリカ崇拝者がいるのはとても不思議なことだと今更ながら思う。戦後の洗脳的な教育が大きく貢献した時代があったのだろうか。

アメリカの人気が無くなってしまった日本とは対照的に韓国、中国といった国ではむしろますます人気が高まっているようだ。実際に米国留学者数が増加している。
どちらも思想的には反米意識が強いながらも、アメリカに魅了される何かがあるのだろう。

友人の韓国人はわざわざ大枚はたいてアメリカに出産しに行った。これは男の子だったから米国籍をとって将来徴兵を逃れるためなのかもしれない。しかし、賃金の低い中国人も最近ではわざわざアメリカに出産しにいっている。
金額はとても高いが、米国籍の価値がそれを上回っているのだろう。

他方、逆の流れもある。

フェイスブックの共同創始者のエドゥアルド・サベリン氏は米国籍をIPO前に放棄した。これは、米国籍放棄によって50億円の課税を逃れるための節税とも言われるが、アメリカではバッシングを受け、もう二度と米国に足を踏み入れることができないかもしれないほどの代償を払ってでも決断したことに驚きを感じた。

実際、2012年第1四半期だけで米国籍を放棄した人は2008年と比べて9倍に増加している。
これを課税逃れと糾弾する人もいて、米国籍を放棄した人を入国拒否するだとかの議論も行われている。

友人の中にも日本人でありながら米国籍を持って大切にしている者が一部いる。米国との二重国籍の友人は意外に多いが、30代以下の人は特に米国籍のメリットが無いからと放棄して日本人のみの国籍としている。日本政府は二重国籍を認めていない事実がある。

他方、米国では多重国籍を認めており、先の40代半ばになる人物は、むしろ米国籍を大切にしている。米国にはわずか2年ほど留学した時にしかいなかったが、米国の税金を払ったり、家族のグリーンカード(永住権)を取ったりしていた。結局家族は日本に帰国したので意味の無かったことではあるが。

世代による違いだろうか。
世界はグローバル化しており、アメリカ国籍を放棄する人が増えているというのは意外な事実だ。


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